お城に住むスズメ

 某日の風の冷たさが気持ちいい午後、私とツレが某所の公園みたいなところで、ドラ焼きを食べていると、目敏い一匹のスズメが近づいてきた。で、我々を見て首を傾げるのである。
 そのかわいらしい仕草はまさに作戦であるのだろう。あまりいいことではないのだが、ツレがスズメは益鳥よ、などというのでドラ焼きの隅を摘んで投げてみた。すると、ちょんちょんと寄ってきて、それを口にすると、どこかへと飛んでいく。その後を目で追うと、どうやら近くのお城のような外観を持つ超高級フランス料理店の方に向かっていくではないか。
 しかし1、2分もすると、また戻ってきて、今度はツレの膝に乗ったりもする。まるで手乗りスズメである。私の手のドラ焼きの切れ端を絶妙にホバリングしながら、くちばしで挟んだりもする。そんなことを何回も繰り替えした。きっとお城には巣があって、雛たちが待っているのだろう。お城の食材の方がドラ焼きよりも何百倍も美味しいはずなのだが。