2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

柴又、記憶のうちに 6

わが愛車はセミ・ドロップ 自転車を手に入れることは、子どもにとって成長のひとつ階段。行動範囲が広がり、スピードを自分のものとする。そして社会の決まりごとを確認する。少なくとも少し前の時代はそうだった。 しかし自転車を買ってもらったのは遅かっ…

柴又、記憶のうちに 5

子どもに客として対応する商店主たち 当時の小学生の実習に「水鉄砲作り」というのがあった。水鉄砲というと、どんなものを想像するだろうか。ピストルを模したプラスチック製のオモチャか。あるいは機関銃のような形をしていて高い圧力で水が飛び出すやつだ…

柴又、記憶のうちに 4

無テーマパークとしての河川敷 柴又帝釈天の山門の前を左に行くと、参道と平行して柴又街道から江戸川の堤へと向かう車道があり、堤に突き当たる場所にあるのが料亭「河甚」だ。ここは寅さん映画の第1作でさくらの結婚式が行なわれたところだが、子どもの頃…

柴又、記憶のうちに 3

帝釈天でのお買い物 いまや全国的に有名な柴又の帝釈天も、40年前の小学生にとってはただの遊び場だった。松の木の枝振りや本殿の周囲にある彫刻の見事な点は理解できたが、やはりそこは自転車で走り回る場所で、渡り廊下の下を頭を低くして通り抜けるアトラ…

「みちくさ市」に遊ぶ

23日に行なわれた鬼子母神通りの「みちくさ市」に再び行ってきた。天候も心配したことがまるでウソのようで、ウキウキするようないい天気。古本を見て歩くにはうってつけの日和なのです。鬼子母神を抜けて開催場所に入ると前回よりも人の数も多いようす。ま…

とぼとぼ映画雑言ロード 10

『ベニスに死す』 70年代に劇場上映の予告編を見て、勝手に映画史上に残る名作と思ってきた。それはたぶん間違いないのだろうけれども、40年近くの歳月はこの概念をコチコチにさせていたようだ。だからなのかその期待に反して今回初めて観た直後の単純な感想…

とぼとぼ映画雑言ロード 09

『地下室のメロディー』 ジャン・ギャバンとアラン・ドロンが共演した銀行破りの定番映画。エアコンの通気口という手段を最初に使ったのはこれではないだろうか。まずタイトルバックがスタイリッシュ。かつての雰囲気がまったくなくなり近代的なビルが林立す…

とぼとぼ映画雑言ロード 08

『007 カジノロワイヤル』 ただただエンタメ映画。映像の作り込みにも力が入っています。でもこういった展開って面白いのだろうか。もちろん007映画なのだから、007の呪縛からは逃れられないのだけれど、その前提自体がすでに陳腐化しているような…

とぼとぼ映画雑言ロード 07

『カーサ・エスペランサ』 早い話が、子供が欲しいけれど産めない女性が、その経済力で子供を開発途上国へ「買い」にいくという映画。しかしこのようにして彼女たちを「救う」のは、はたしていいことなのだろうか。そういった機会があるということは幸せなの…

とぼとぼ映画雑言ロード 06

『ブルグ劇場』 老俳優と新人俳優に若い女が絡む。珍しくもオーストリア映画。しかも1939年制作なのだから、いまとは国家形態も違っているはず。いやけっこうよかったですよ。短いし、役者のオーバーアクションも気にならなかった。しかもモンタージュ技…

とぼとぼ映画雑言ロード 05

『勝利なき戦い』 朝鮮戦争の休戦協定直前の陣取り合戦。「死んじゃったよ、まいったなぁ」という感じで、次々と人が死んでいく、その空虚に描写は、まるで射的ゲームのよう。この映画があまり知られていないのもむべなるかな。グレゴリー・ペックが出ている…

とぼとぼ映画雑言ロード 04

『ローマで起った奇妙な出来事』 古代ローマを舞台にしたドタバタ喜劇。バスター・キートンがいい感じの役で出ている。それもちゃんとあのいつもの顔で。彼の遺作とのこと。ちなみにベッドのシーンに蝿が出てくるけど、あれって作為的なのだろうか。 『プラ…

とぼとぼ映画雑言ロード 03

『荒野の用心棒』 もちろん黒沢明監督の『用心棒』の無許可リメイクである。しかしなぜ彼がこの街の人をここまで殺したいのかよく分からない。ともあれ、一人が大勢を殺していくテクニックを楽しむ映画。あまりいい趣味とはいえないと思う。メキシコ系の一家…

とぼとぼ映画雑言ロード 02

『ホット・ロック』 ロバート・レッドフォードがややもったいない気もするけど、小気味いい佳作。ただし催眠術で金庫破りをしてしまうというのは禁じ手でしょうが。 『ワイルド・バンチ』 最後に敵方の大将を殺した刹那、これでめでたしという一瞬があるのだ…

とぼとぼ映画雑言ロード 01

今年観た映画の「思いつき・言いがかり」的短評です。基本的にテレビ放送をDVD録画して観たものです。映画鑑賞のご参考には(たぶん)決してなりませんのであしからず。また事実誤認等もお許しあれ。※一部現在では表現として相応しくないものがありますが…

空を評論したくなるとき

いつも空を見つめているわけではないので、断定はできないのだけれど、11月14日の空はここしばらくはお目にかかったことのない見事な出来栄えだった。 残念ながら360度は見渡せず、ほんとはもっと素晴らしい情景があったのかもしれないが、とりあえず、我が…

柴又、記憶のうちに 2

喧騒の中の落し物 柴又帝釈天では年に何回か庚申と呼ばれるお祭りがあった。近くに住んでいた小学生時代はその公式行事に関心はなかったのが、参道に立つたくさんの出店を眺めて歩くだけでもとても楽しかった。 山門近くの飴細工の出店では、小さなハサミひ…

初めてだけど、記憶にある絵 その1

ハンマースホイの既視感 絵画展に行こうとする動機は、当然ながらふたつに分けられる。 ひとつは以前からその画家が好きで、印刷ではその作品を何枚も観ているという場合と、もうひとつが新聞や雑誌などでその画家の展覧会を知り、作品はほとんど観ていない…

リクエストは墨絵のような写真

墨絵の世界のような写真はありますか、というリクエストが届きました。 お気に召しますかどうかはわかりませんが、とりあえず2枚をアップします。最初の写真は会津磐梯スカイラインの不動沢橋。展望台に着いたときは遠くまで眺められたのですが、みるみるう…

佐々木譲さんを読む 03

『笑う警官』を頭の中で映画化する。 いよいよ14日から映画『笑う警官』がロードショー公開されます。 この映画の原作小説である佐々木譲さんの『笑う警官』(「うたう警官」を改題)を2004年に読んだとき、物語の展開がまさに映画向きだと、いやそうでは…

柴又、記憶のうちに 1

駅前の小さな変貌 11月6日に柴又に行ってみた。 この町には1965(昭和40)年から68年暮れまで約4年間暮らしたことがある。年齢でいうと9歳から12歳、学年だと小学2年生の終わりから6年生の2学期後半までだ。もう40年以上前のことになる。…

『絵画』 カミングスーン

とある方から「『絵画』には何も入ってないけど、どうなっているんだろうなぁ」という温かい励ましのお言葉をいただきました。おっととと、しっかりと忘れて、はいなかったのだけれど、ついつい後回しになってしまいました。 とりあえずブリューゲルと、ファ…

30年目のサークルボックス

学生時代のサークル仲間とひさびさに会う。 いや「ひさびさ」というにはひさびさ過ぎるかもしれない。人によっては30年弱ぶりの再会なのだから。でも、いざ会ってみると面々の顔にその時間経過を感じられず、まるで、学校の正門で「それじゃまたな」と別れて…

猫を撒く

先日の猫の話で思い出したことがある。 しばらく前に神楽坂から江戸川橋の方へと、あみだくじ状態でドヤドヤと坂を降りていった時の話。くじの縦線から横線に移ろうかというときに、若いお嬢さんが必死のギョウソウで、坂を上ってきて、一瞬、私にぶつかるの…

お誕生日、おめでとう!!

本日11月5日は、親しき人の誕生日。実は昨日間違えてオメデト・メールを送ってしまったら、一日早いぞとお目玉メールを返信されてしまった。まあ、それほどまでに女性にとって、年齢は微妙なものなのである。特に大台に乗るとあっては・・・。 子供の頃の…

とんびがくるりと?

遠方より航空ショーを望む 昨日の3日午後、出かけようと思ってふと窓の外を眺めると、遠くの方でなにやら煙が上がっている。でも火事とは違う。あれ、なんだろうと見ていると、そこに立ち上る一本の白い筋。そうか今日は入間基地の航空ショーなんだ。自宅の…

佐々木譲さんを読む 02

「トークショー」や「講演会」 本日の午後、池袋の旭屋書店で「映画『笑う警官』公開記念」の「シネマトーク」&「サイン会」が開催され、私も出掛けてきました。そんなことで今回は譲さんの「講演会」についてです。 佐々木譲さんの講演会は、『武揚伝』の…

猫と歩く

散歩の途中で、猫と目が合った。 ふつうなら無視されるか、それとも逃げられるかなのだが、 そいつはこちらの後をついてくる。いや、横を歩いたりもする。 はっきりいってまったくかわいくない猫である。 ミャーミャーというより、ミギャーミギャーと啼いて…

佐々木譲さんを読む 01

『巡査の休日』 佐々木譲さんの新作である。 この作品を読み始めて、まず『道警シリーズ』の小島百合との再会が私自身うれしくてたまらないことがわかった。いってしまえば、彼女に限らず第一作の「チーム」の面々はいつも自分の中にいて、この作品がまるで…