2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

不必要の必要 その二十七

三十年以上前に先生はこうもいった。 「たとえば書棚に本があれば、その背表紙ぐらいは読む。それを読むだけでもいいし、覚えてなくてもいい」 なにやら禅問答のようなその言葉に、耳を傾けていた新米の学生たちは耳ではなくて首を傾げることになるのだが、…

不必要の必要 その二十六

♪暦の上ではジャニュアリー、なんてことは完全無視して、ことを続ける。 つまり書店は森なのである。そこでヒトは自分の食すべきモノを採取して、イエに持ち帰る。幸いにしてそのモノは基本的にクサることはない。まれに内容が腐ることはあったのしても。 そ…

不必要の必要 その二十五

そして本が食べきれないほど増えていった頃、思い出したのが、あの「本は買うだけでも意味がある」という碩学の言葉なのである。その真意をつかむことなく、数十年がドンガラドンと過ぎ去ってしまったが、ようやくそのしっぽぐらいは見えてきたような年の暮…

不必要の必要 その二十四

そして本は四冊から十冊へ、十冊から百冊へ…………と増えていく。しかし本が少ない時代は平和だった。いや今でも平和にもは違いない。牧歌的だったといい直してもいいかもしれない。 たとえば本棚を作り変えるか何かで、本を平済みにしたことがある。すると目に…

不必要の必要 その二十三

もちろんそんななんちゃって思惟の空虚さは、いわば見た目の問題である。しかしがきんちょ中学生もまた、友人の勉強部屋での見た目に大いなる衝撃を受けたわけであり、その影響からする行動も、見た目命的なものとなったのである。 世の先達の読者家にすれば…

不必要の必要 その二十二

そして話はずーっと前に書いた、大学入学時のセミナーで担当教授がいった「本は読まなくてもいい、買っただけでも意味がある」に戻る・・・・・・かな。 私が最初に買った大人の本は、これらの四冊だったわけだが、これを自分の部屋の本棚に置いてみると、とうぜん…

不必要の必要 その二十一

友人の部屋で「大人の本」を見て、あわてて書店に飛び込み、買った本の四冊目が、NHKブックスの『SSTの科学』である。今までの三冊もにその時代を現していたが、その点でこれに勝ることはないだろう。 あの頃のSST、つまり超音速旅客機といえば、ア…

不必要の必要 その二十

しかし前の二冊と違って、私の脳みそを大いにかき混ぜてくれたのが、『宇宙時代の常識』。タイトルから昨日の同じ講談社現代新書の『宇宙空間を開く』と似たような宇宙開発の解説書かな、と思ってしまったのだった。 しかしその副題は「教養としての相対性理…

不必要の必要 その十九

まずは『アポロ技術への企業戦略』。タイトルからしてかなりクサイ。アメリカの宇宙開発事業がどのように成り立っていて、どんな御利益があるのかはを丁寧に開陳しているのだが、ボンクラ中学生にはまったくわからず、最初の「ポスト・アポロ・エージ」とい…

不必要の必要 十八

空ばかり見てたので、何を書いていたのか、よくわからなくなった、というのはいつものこと。 さて、友人TOの部屋に入って、そこに並ぶ大人の本に驚いて、もう一人のやっぱり驚いた友人KFと、街の本屋に飛び込んだのが、1970年ではあった。 といって…

冬の埋め空 その七

冬の埋め空 その六

冬の埋め空 その五

冬の埋め空 その四

冬の埋め空 その三

冬の埋め空 その二 

冬の埋め空 その一

不必要の必要 その十七

書き込みがまた時間の歪みの中に入り込んでいく。 さて昨日書いた友人TO、たまたま私とイニシャルが同じだが、もちろんまったくの別人で、架空人格でもありません。 その彼の部屋に入って本棚を見ると、中一としてはかなりの数の「大人の本」が並んでいる…

不必要の必要 その十六

さて、小学生時代に買った図鑑の話から、いろいろと意味不明っぽいことをつらつら並べてきたが、なぜにその時代に話が及んでしまったかというと、中学に入ってすぐに、エポックメーキングな出来事があったからで、そのことを書こうと思いつつ、12月4日の…

不必要の必要 その十五

つまりまだ読んでない本でも、買った時の思いである「こんなことが書いてあるかも」が存在していることになる。まさに「積読」は、その中身を読まずして、すでに「読んでいる」ことになるのである。 最近、いや近年、でなくてずいぶんと前から、本棚に並んで…

不必要の必要 その十四

話は軌道から遥か彼方まで逸れていったので、はたしてもともとの軌道がどこら辺にあったかさえ、茫漠としているのだが、つまりは買った本には、本人がほとんど忘れていた記憶がテンコ盛りで詰まっていることがある、ということなのだ。 このあたりがあの「本…

不必要の必要 その十三

まあそんな感じで、私のあやふやな木星スケッチは描かれていったわけだが、この星のスケッチは歴史的にも、個人的にも大きな錯誤はたぶんなかったのではないか。というのも、木星は太陽の動きが邪魔しない限り、ほぼ同じくらいの大きさで見えているので、な…

不必要の必要 その十二

まあ高校生の天体観測なんていうのは、遊びみたいというか、自分の場合はまったくの遊びだったので、学術的な意味合いはまったくないのだけれど、それでも10センチの反赤(反射赤道儀式望遠鏡の意)を夜な夜なキムヨナ木星に向けては、そのシマシマ模様を…

不必要の必要 その十一

さて、話がどんどんと水面をスキップしていくがごとくに、トンデモない方向に進んでいるのだが、少しだけまとめると、時計が停まったことで、時計があまり必要ではないことに気づいたことから、ケータイも今ではほぼ時計として活用するのみ、ツレのスマホは…

不必要の必要 その十

ちなみに望遠鏡にはそのレンズ、または鏡の直径により分解能と呼ばれる性能が規定されていて、どんなに気象条件などが良くても、見えるものの限界がある。彼が描いたその筋はたぶんその限界を超えていたはずである。 などエラソーに書いても、スケッチの描か…

不必要の必要 その九

かくいうわけで、1967年に発行された愛しの図鑑『宇宙旅行』は、いまでは考えられないほどの、宇宙開発華やかなる時代の波にもまれるわけだが、その顕著な例をまた火星探査についての記述で見てみよう。 この図鑑では火星についてその表紙にあるようなイ…

不必要の必要 その八

さて、昨日ここで取り上げた『宇宙旅行』なのだけれど、いちおうスペックを記しておくて、発行元は小学館で、学習科学図鑑の八巻にあたるようだが、その巻数については奥付近くの広告にしか記載されてはいないようだ。 で、初版はいつなのだろうと、てっとり…

不必要の必要 その七

などということをブログに書いてみて、ふと大学に入った頃、自分はどんな本を持っていたのだろうかと、思い浮かべてみる。読んでいたか、ではなく持っていたか、なのは、昨日の新入生セミナーでの担当教授の弁から来ている。 そう、「読まなくても、まずは買…

不必要の必要 その六

ちょうどコメント欄にヒデリンさんが時計のことを書いてくれたので、その返歌として、本についていくばくかを書いてみたい。 それに今日は岡崎武志さんの『蔵書の苦しみ』を読み終わったばかりだ。 この本は先日訪れた岡崎さんの両国のイベントで買い求めた…

不必要の必要 その五

そんな悲しき音楽再生状況に加えて、前から少し様子がおかしかったDVD再生録画機器も、完全にイってしまったのである。 これで我が家ではテレビ放送の録画ができなくなったのだ。これはヤバいと、今までの私ならばすぐにでも新しい機器を買いに走ったとこ…