2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

足もまた洗えず01

SFファン交流会に行こうと、渋谷駅の新南口を出る。ここを使うのは初めてだ。埼京線と新宿湘南ラインのホームが南側に飛び出ている構造は、新宿駅と同じ。あの渋谷駅前の喧騒とは遠く隔たっている。だがこの改札口のせいで潤った人も多いのだろうな、と余…

埋め草架空対談20

B まあそんな感じで、スカイラブ以降のまた別の未来を書きたいなぁ、と思っていたんだけど、文フリで大森望さんから薦められた『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』に、自分の構想とかなり似かよった作品が掲載されていたんですよ。 A また逃げの一手ですか…

埋め草架空対談19

B しかし現状をみてみれば一目瞭然です。現在、国際宇宙ステーションへは、人は狭苦しいソユーズ使っているし、荷物は日本やアメリカの無人機で運んでいる。なにも高級ベンツを、トラック代わりに使う必要はなかったことになる。 C なるほど、わかりやすい…

埋め草架空対談18

B 引き続き私の勝手な思い込みだろうけれども、スペースシャトルの当初の企画者は、未来に幻想を抱いていたんだろうね。これもまた宇宙少年の幻想であったのかもしれない。使い捨てではなく、まるで旅客機のように何度も宇宙を往復できる機体を作ることはで…

埋め草架空対談17

C Bさんは水なんか飲むより、ウーロンハイのほうがいいんじゃないですか。 B でもそんなことしたら、ゲシュタルト崩壊してしまうま。 C ほら、最近知った言葉を使ってからに。でもそれってもうチンプ化してますから。 B そうだったのか。知らなかった・…

埋め草架空対談16

B しかしまあ何といっても、大々的な宇宙への画期的な輸送システムとして喧伝されてきたスペースシャトルの、どーしようもなさったらないじゃないですか。 A といいますと。 B 当時のリタイア直前の宇宙少年たちは期待したわけですよ。もうこれで宇宙は日…

埋め草架空対談15

B うーん、いや我が旅に終点はなし、ただあるのは通過点のみ。(むくっ) A おや、Bさんがご起床です。やはり「終点ですよ」が効いたようです。 C 私はさすがに終点まで乗り越したことはないけど、Bさんにはそのときの記憶が刷り込まれているのかもしれま…

埋め草架空対談14

C おっと、いねむりしたのね、になってしまった。アグネスでもアルマジロ。 A それってジョークですか。断言しますが、誰もわからないと思います。 C いや、あなたにわかったもらえばそれでいい。で、なんだったっけ。 A ソラリス論の続きです。 C あっ…

埋め草架空対談13

B むにゃむにゃ、ウサギおいしいあの山のジビエ料理・・・・。 A まだBさんは眠っているようですね。しかも寝言が間違っているし。まあ寝かしておいて、先に進めましょう。 C いいんですか。ここは本来Bさんの話を聞く場なのでは。 A いえいえ、しょせ…

埋め草架空対談12

A それではまあ、その時系列とやらの問題点は脇に置くことにして、その「モスクワ・エレジー」を観て、何か見つかりましたか。 C くわしくはまた別の機会にここで書くことにしますが、一つだけ取り上げるとすれば、タルコフスキーの棺にはあのルブリョフの…

埋め草架空対談11

A もしもし、Bさんどうしたんですか。よだれが出てますけど。 B むにゃむにゃ、ご飯は食べ飽きた小町・・・。 C どうやら、寝言で駄じゃれをいっているみたいですね。でも才能のカケラも感じられない。 A たぶん、自分の思いがまとまらないので、眠った…

埋め草架空対談10

B 小説の話から離れるけど、いいですか。 A もちろん、そうか小説の話をしていたんですよね。 B コホン、はい、ではお言葉に甘えて。大胆かつ時代錯誤なことをいわせてもらえば、宇宙開発というのは、すくなくとも有人の分野においてはスカイラブ計画で終…

埋め草架空対談09

B たぶんマンガ雑誌のグラビアページだったはずですが、時代を反映していたのか、昔はよくそういったところで宇宙開発の特集が組まれていたのです。その中に小さくジェミニ衛星を改造して、機械船の部分をさらに拡大した円筒形の作業スペースのイラストを見…

梅雨の一呼吸

五反田の寺で、亡父の一周忌を営む。 365日という日々の短さを感じる。梅雨の一休みのような天気だった。ただし陽射しは強い。光の中で墓石の水が元気よく跳ねた。 陰膳には若い頃の母といっしょに写真を具える。なんと父が25歳、母が20歳ぐらいのは…

埋め草架空対談08

A というと。 B いわば、続篇のための細工です。先日、話したようにそのための伏線というか、取っ掛かりみたいなものを残しおきましたが、これもほんとうはそのようなものを残しておくべきだったなぁ、というものです。続篇は基本的には、今回の登場人物で…

埋め草架空対談07

A どうやら埋め草がなくなっちゃったみたいなので、刈ってきましたよ。 B はいはい、実家の庭からでしょ。 C でもどのへんに埋めればいいんですか。それになんかゼラニウムが臭うなぁ。 A って、冗談になってないんですが、まあちょっとお休みしたので、…

二年ぶりの剪定。

実家の小さな庭の剪定を、シルバー人材センターの方にお願いした。二年間ほどしていなかったので、猫の額もしっかりジャングルである。 作業は朝の八時半から始めるという。何度かやった場所なので、立会いは特に必要ないようだが、午後から出掛けることにし…

埋め草架空対談06

C それから湯沸かし器というのもありましたね。昔の庶民の家庭には、ほぼ間違いなく台所の洗い場にあって、子どもの頃、ボッと火が点くのがちょっと怖かったりして。 B あのガス湯沸かし器は、自分の暮らしに登場しなくなって、30年ぐらいたちます。つま…

埋め草架空対談05

C この「ものみな憩える」の登場人物で、名前があるのは床屋の西田と青木、そして主人公のマコトぐらいです。そこでネットでも、はこの西田と青木がシンメトリーっぽい漢字なので、マコトも真という字なのではないか、といわれてましたよね。 B はい、いろ…

埋め草架空対談04

A では日も改まったことですから、Bさんに昨日話題となった付け加えについてお話いただきましょう。B あのあまり日が変わった気がしないんですけど。まあいいか。そうですね。これはそこまで書いて恥ずかしくないかな、と迷っていたことなんですれど、主…

埋め草架空対談03

B それじゃ、とにかく駅に着けちゃいましょう。はい、着きました。で、さっき私はこの3分の1は実話だと書きました、いや間違った。いいましたけど、実際に数年前、この桜台を30年ぶりに訪れていたのです。もちろんそれも小説にある通りに、開店早々の床…

埋め草架空対談02

B しかし大丈夫ですかね。こんな感じで進めていったら、50枚と少しの本編よりも長くなってしまう。A それはホラ、編集とかなんとか。C でもそんなことする気はまったくないようですよ。B えっ、誰がですか。A まっ、それをいったらおしまいですから。…

埋め草架空対談01

どうも、司会を務めさせていただくAと申します。今回はゲストに唯一の商業出版である短編「ものみな憩える」をお書きになったBさんをお招きし、やはり評論をちびっとだけ書かれたCさんからの質問にお答えいただくことになりました。ではお二人とも、よろ…

ブラッドベリへのお礼

昨日の夕方、拙作の「『惑星ソラリス』理解のために[二]――タルコフスキーの聖家族〈後篇〉」の電話での校正チェックを終えて、うだうだしていると、深夜にかけてレイ・ブラッドベリの訃報がツイッターを中心に巡り始める。しかしマスメディアの報道はまだ…

網膜はく離とガッツポーズ

昨日の続き。 そして釣った桜の枝はかなり高いところだったので、少年は「獲物」を捕まえるために、というか釣り針を回収するために木登りを始める。いやはや。 しかしこれがうまくいかない。観ているオジサンも手伝おうかと一瞬だけ思ったが、これは子ども…

魚は枝にはなっていない。

土曜日、公園のベンチで本を読んでいると、三人の中学生ぐらいの男の子たちが釣竿や網を持ってやって来た。この公園には大きな池があって、珍しいことに釣りをすることがオフィシャルに認められているのだ。 どこかの看板には、その証拠に「チビッ子たちにさ…

ジョージ・マーティンは「サイコ」を観ていた。

そして話は続く。テレビ番組の『美の巨人たち』では、ホッパーと「サイコ」の意外な関係について触れて、また当然のように映画のあのシャワー室での殺害シーンを、あの弦楽器をキュ、キュ、キュ(ああ、どう表現したらいいんだろ)を交えて流すのだった。 で…

一つの屋敷を巡るお話

土曜日のテレビ番組「美の巨人たち」は、エドワード・ホッパーの「線路沿いの家」が題材だった。と、改めてこの絵を観ると、アレレ、どこかでお見受けいたしませんでしたか、となるのだが、番組では、それを早々にバラしてしまう。 そう、この絵が何かの映画…

コンビニエンス・タックス

はい、車の税金ですね、払いましたよ、コンビニでね。まるでおにぎり買うみたいに簡単でした。もらったのはハンコと、小さないつもの領収書だけです。もちろんおにぎりももらえません。あの金額でおにぎりいったいいくつ買えるんだろ。 はい、車の保険も払い…

わがカートはそこにある。

生業としているツレの運転手(嘘です)をして、近くのスーパーに出掛ける。比較的いい位置の駐車場が空いていたのだけれど、よく見るとその場所にはカートが放置してあったので、我々は、あたりで2番目にいい位置に車を停めて、まったく非常識な人が多いん…