2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ソラリスのストーカー02

そう、昨日突然気づいてしまったのだけれども、「惑星ソラリス」は短縮版として放映されたテレビ放送の録画を別にしても、3つのタイプの字幕が存在していた可能性がある。 まずは1977年の日本公開時のもの、そしてテレビで字幕版の(例えば「ミッドナイ…

ソラリスのストーカー01

配給会社の方から、突然「惑星ソラリス」の試写会に来ませんか、というメールをいただいた。これは渋谷のユーロスペースで8月4日から開催予定のタルコフスキー生誕80周年記念映画祭で上映されるデジタルリマスター版なるものだが、なんと一足先にお目に…

散歩あゆめず14

そして私を含むかたまりは明治通りを越えた。 横断歩道の前で信号待ちをする人たちとデモ隊との間を、数人の警官が黄色いテープで遮る。歩道と車道、この1メートルにも満たない隔たり。それをその黄色いテープが強調しようとする。 かつてベ平連の時代には、…

散歩あゆめず13

書き手の思惑と違って、ずいぶんと長くなってしまったこの「散歩あゆめず」だが、アリガタクもこれを読んでいただいている人は、きっと以下のことに気づいていることだろう。 ここの言葉遣いには、よくいって「迷い」、フツーにいって「いい加減」なところが…

散歩あゆめず12

原宿駅近くの陸上競技場前の歩道橋に上がって、デモの行列を眺めた。昔はこんな風に歩道橋から見ていると、ただそれだけで警官に蹴散らされたことがあったけど、いまは多勢に無勢なのか、そんなことはない。 ただ明らかに規制は明らか厳しくなっている。 も…

散歩あゆめず11

昨日書いたような、数年前にホイッスル青年の罵倒を受けて、さしもの私も少しそういったことから遠のいた時期がある。しかしまあそれも勉強である。いろんな人がいる。ただ彼の胸のあたりにまで上げた握りこぶしを、忘れることはないだろう。 しかしこうもい…

散歩あゆめず10

会場のステージではまだ発言やなにやらが続いているが、デモ、またはパレード、個人的には公道散歩に出掛ける人の列が作られつつある。それも今回は三つの方向に分けられる。ここから表参道を抜けて明治公園へ行くコース。公園通りを下って恵比寿に行くコー…

散歩あゆめず09

人の流れに身を任せて、大きな横断陸橋の下まで到着。さっそく影の隙間に身体を入れる。ああ涼しい、と思いつつ、炎天下のメイン会場の人たちに御免なさいと、カバンの中の2本目のアクエリアスを開ける。面白いぐらい大量にそれが喉を通過する。 そしてあた…

散歩あゆめず08

だいだいの「公道散歩」の出発場所と解散場所は、まず公園ということになっている。そのおかげで、ずいぶんと都内の公園の場所を覚えた。 代々木公園、明治公園、宮下公園、日比谷公園、檜町公園といったあたりはメジャーだが、清水谷公園、常盤橋公園、一の…

散歩あゆめず07

代々木公園サッカー場のスピーカーは、落合恵子さんから澤地久枝さんになった。澤地さんもよく通る声だ。ただそのエリアにいても、後ろのほうだから、彼女の姿を確認することはできない。まだ人はどんどんと集ってきているようで、まごまごしていると、ここ…

散歩あゆめず06

そういったやや玉虫色的でもある反核集会に対して、日本で反原発、もしくは脱原発を明確に打ち出した集会で過去最大だったのは、88年に開催された脱原発2万人集会だと思う。 もう四半世紀も前のこと。最初の名称は1万人集会だったのが、どんどんと人が集…

散歩あゆめず05

すでに書いたことだけど、30年ほど前にも、この代々木公園が人々の波で覆いつくされたことがあった。 その頃、まずヨーロッパで反核運動がさかんになった。アメリカ合衆国はパーシング?という長距離核ミサイルをヨーロッパに配備しようとしたが、そのこと…

散歩あゆめず04

スピーカーから流れる声は、大江健三郎さんから落合恵子さんに代わっていた。よく通る声だ。メリハリがある。テレビで聞くそれよりもハツラツとしている。そうだ、彼女はアナウンサーだったんだよね。文化放送セイヤングのパーソナリティ、レモンちゃん、と…

散歩あゆめず03

代々木公園の野外ステージ前に集っている人と人、その間をやや苦労しつつ抜け出して、向こうのメイン会場になっているサッカー場への入り口を探す。 ずくに2メートルほどのフェンスの切れ目が見つかった。そこも立ち止まる人と出る人、入る人でいっぱいだが…

散歩あゆめず02

ご丁寧に「厳重警戒」してくれている警察官の間をすり抜けて、代々木公園のケヤキ並木へと入る。すでに大勢の人が集っていて、まっすぐには歩けないほどだ。 そうそう、ニュースの話題はこのイベントそのものではなく「警戒」に主眼が置かれていた。最後のコ…

散歩あゆめず01

もう12時を過ぎた。テレビを観ていたら、気の早い人がぞくぞくと出掛けてきているみたいだ。そろそろ僕も出発するか。 タオルを2本カバンに入れて、駅の自販でアクエリアスを2本。そのホームでさっそく開けると、気持ちいいぐらいに入っていく。うむ、乾…

盆の鈴の音

盆の送り、実家に行く。 前日妹が来てくれたので、郵便物もほとんどない。部屋の空気のよどみもない。 雨戸を開けると、小さな庭に小さな風が吹いている。 そして、チリリン、チリリンと鈴の音。 どこかの子どものカバンにつけたそれか、そこらのおばさんの…

宿題がひとつ、ふたつ、みつつ、たくさん。

宿題がたくさん。 まずは本日の創元SF大賞に関するイベントについて書きたい。 先日観た「モスクワ・エレジー」についてもまだ書いてない。 ザ・ピーナッツのエミさんのことも書いてみたい。 それになりより、ここのこととは別だけど、ずっと前に書き上が…

13日の金曜日

今日は13日の金曜日である。 大安吉日や方角や、風水、それに星占いなどなど、まったく気にしないのだが、小学4年か5年のときの13日の金曜日に財布を落としたことがあるので、この日ばかりは微妙に気にしている。 もともと飛行機自体は大好きなのだが…

足もまた洗えず13

モグラのごとくホームにぽっかりと空いた穴から、目黒駅に立つことになるなどとは思わなかった。目黒駅なら東口からはロータリーに面した階段を上って、左側の改札を入る。西口からは向こうに本屋のある通りから今度は階段を数段ほど降りて、当然右側にある…

足もまた洗えず12

その頃、目蒲線に乗車したという記憶は、五反田か目黒で酔いつぶれて、終電のあと不動前の彼のアパートに何人かで転がり込んだ翌日に、ただ何もすることがないが、狭い部屋にいてもしょうがないということで、目黒まで出掛けたときの記憶ぐらいなのである。 …

足もまた洗えず11

そういえば、あえて秘すこともないけれど、あえていう必要もない我が母校は、ちょっとだけ辺鄙なところにあって、当時、つまりは30年以上前はあまり使い勝手の良くない都営地下鉄白金台駅が一番近くて、それでも学校まで7、8分掛った。でもこの駅を使っ…

足もまた洗えず10

私は鉄チャンではないので、鉄道のことはまったく疎いのだけれど、昭和30年代や40年代は、東京の各路線がもっと独立性を持っていたのではないだろうか。 それが利便性を最大の要員として、どんどん様変わりして走行距離を伸ばしていく。基本的には都心を…

足もまた洗えず09

そういうわけで、その立派なお坊さんが足を洗ったという洗足池にたどり着くこともできずに、ただ洗足駅の路線図の前にポケーッと立っていたのだった。 すでに書いたように洗足駅は、東急目蒲線改め東急目黒線の沿線駅ではあった。おお、なんとかつては目黒駅…

足もまた洗えず08

ぽつねんと洗足駅前に私は立つ。 しかし向こう側に洗足池は存在しない。 ふと、僅かな疑念が、身体の下のほうからぷっくりと浮かんでくるのが分かった。そして私は振り返って、駅の路線図を見る。 なななんと、洗足駅以外に洗足池駅があるではないか。 そう…

足もまた洗えず07

さらにそれでもバスは行く。 行けども行けども同じような街並みが続く。狭い道を運転手は器用に駆け抜ける。 歩道にスカートを風に膨らませて走る自転車の少女。時に立ちこぎもする彼女と、バスとが追いかけっこをする。 するりと彼女を抜いても、信号待ちで…

足もまた洗えず06

まだバスは行く。 いくつか停留所を過ぎると席が空く。しかも最後列の進行方向右の窓側。私は終点まで行くので、隣に人が座ったり、また満員になっても大丈夫。 今からウン十年も前だが、小学校の遠足のときは、悪友どもといっしょにいつも最後列の席に陣取…

足もまた洗えず05

そして船は行く、じゃなかった、バスは行く。 しかしバスに乗るなんて久しぶりだ。この乗り合いバスには、もちろん皆さんご承知のようにいろんな料金収集システムがあって、それにアタフタしていると、怒られそう(そんなことはないのだけれど)な気がしてくる…

足もまた洗えず04

自分にとってはまるで外国のような代官山(らしき場所)を、しばし歩く。そこを行きかう人々も、しっかり日本人顔ではあるのだが、さっきのモジリアーニ顔と同様に、なにか違和感がある。はたしてほんとうに日本語が通じるのだろうか。 しかししばらく行くと、…

足もまた洗えず03

なにせ取材のアポイントは取っていたのだが、それを失念していた宮脇檀さんだったから、部屋はまさに日常のまんまだったはずだ。 それでも乱れがあるわけではなく、撮影には十分耐えられるほどキチンとしている。ただ宮脇さんは慌ててキッチンに入った。朝の…