2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ふかまりゆくもの そのきゅう

床屋談義 延長戦 09 昨日、家に帰るとビートルズの白いモノ・ボックスがあった。ウチのに聞くと、今日やっとお店に寄ったという。 「でもすごく重いの」 いやいやビートルズが軽くてどうする、と持ったけれども意外に軽い。オリジナルLPとしては、『レット…

ふかまりゆくもの そのはち

床屋談義 08 「しかしお客さん、ちょっと話題がマニアック過ぎやしませんか」 「そうだね。しかも底浅きマニアックだ」 「そこまではいいませんが。いやダジャレじゃなくて」 「そういえば、秋の深まり方をいろいろと人生の積み重ねと掛け合わせていろいろと…

ふかまりゆくもの そのなな

床屋談義 07 「ところで、ベイシティ・ローラーズとか、ラズベリーズとか、モンキーズとかって知ってるかい」 「なんのことやらさっぱりわかりません」 「ほんと、モンキーズも知らないの」 「そんな名前のダーツバーがあったかなぁ」 「そっちのことはこっ…

ふかまりゆくもの そのろく

床屋談義 06 「ビートルズのアルバムは、少なくとも1970年代の中頃までは、日本ではEMIレコードのイギリス盤とキャピトルレコードのアメリカ盤の両方が発売されていたんだ。まあ『ラバーソウル』以前の初期のアルバムに限ってだけどね。どういうわけ…

ふかまりゆくもの そのご

床屋談義05 「そんな感じで、レコードっていうのはいろいろケアしなくちゃならなかったんだよね。でもそれが当たり前だったから、むしろ楽しかったかな」 「CDじやそんなことしませんよね。まあクリーナーはあることにはあるけど、あまり使っていないんじ…

ふかまりゆくもの そのよん

床屋談義 04 床屋の話の続きの続きの続き 「お足をすくわれるといえば、学生時代はバイトで稼いだ金で、ビートルズのアルバムを一枚一枚ゆっくりと買い足していったなぁ」 「その頃のレコードっていくらぐらいだったんですか」 「いまのCDとあまり変わらな…

ふかまりゆくもの そのさん

床屋談義 03先日の床屋での話の続きの続き。「そういえばビートルズのCDBOXが出ましたよね」 「あぁ、何か出たみたいだね、でもあんまり興味ないなぁ」 「でもお客さんの世代ってビートルズを聞いてたんでしょ」 「ギリ間に合ったというか、間に合わな…

ふかまりゆくもの そのに

床屋談義 02 先日の床屋での話の続き。 「いままでの人生が長いから今の一年が短いって話、なんとなくわかる気がするなぁ」 「お金もそうかもしれないね」 「ええっ、お金ですか」 「そう、例えば50万円持っている人に50万円の収入があったとすると財産は倍…

ふかまりゆくもの そのいち

床屋談義 01 先日床屋さんへいった。そしていつもながらの会話である。 「もう10月も終わりだね」 「そう、歳を取るごとに一年が終わるのが早くなりますよ」 「そうだね。昨日、雑煮喰ったばかりなのに」 「いゃあ、でも前におっしゃてたじゃないですか。一…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その十三・最終回

『フィンガーボウルの話のつづき』、その他の小説 吉田篤弘 2006年の春は吉田篤弘さんの小説ばかり読んでいた。手元には吉田さんの単行本が8冊あるのだが、『フィンガーボウルの話のつづき』と『つむじ風食堂の夜』には書き込みがないので、たぶん1月…

とりとめもない楽しさ

酒の誘いありて、フラリ出かける 先方急用にて、しばし待つ 文庫本を開きて、19世紀欧州に楽しく遊ぶ 行く列車が過ぎ、いくときか過ぎ 腰の携帯電話に響きあり 立ちて、その場に急ぐ歩きつつ思う 誘いあるの喜ばしきを 語らいたき知人あるの幸いを集いたれば…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その十二

「想像の源は古本から。」 クラフト・エヴィング商會 雑誌『東京人』掲載記事今回は正確にいうとクラフト・エヴィング商會の作品ではなく、その制作手法に関する記事です。しかしクラフト・エヴィングが書いたということになっているので、「作品」には違い…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その十一

[奇地図集覧] クラフト・エヴィング商會(雑誌『ラパン』連載) 昭和12年の地図によるロールプレイングゲームや昭和11年の東京における火星人分布など、過去の不思議な地図を紹介するという連載もの。まったくありえないことやもしかするとありそうなこと…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その十

『明治の文学』全25巻 ブッデザイン・吉田篤弘 吉田浩美 坪内祐三さんが編集する明治文学大系の装丁を、クラフト・エヴィング商會のお二人が担当している。まず特徴的なのはその色。たぶん古めかしいネーミングがされていることが想像できるその色を、全体の…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その九

『テーブルのファーブル』 クラフト・エヴィング商會 まあタイトルからしてダジャレである。まずはテーブルあって、そしていろんなモノを置いて話が進む。当然のことながら文字は黒。しかし会話になるとどっちがどっちの発言かわからない。会話なのに話して…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その八

『どこかにいってしまったものたち』 クラフト・エヴィング商會 これがクラフト・エヴィング商會名義で発行された最初の本です。最近の作品に較べるとその緻密さが際立っていますが、またデビュー作の常であるようにその後のエッセンスが網羅されているよう…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その七

『クラウド・コレクター』 クラフト・エヴィング商會 この本でクラフト・エヴィング商會が作り上げたのは彼らの祖父です。彼がいわばこの商會の祖であり、彼の「アゾット」というタロットカードを模した不思議な場所への旅を巡って誌面は展開しています。ち…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その六

『アナ・トレントの鞄』 クラフト・エヴィング商會 そろそろネタも無くなってきたかな、と思った瞬間にこの本が出た。アナ・トレントとはそごんじビクトル・エリセ監督の『みつばちのささやき』の主演子役の芸名であり本名でもある。彼女が映画の中でもって…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その五

『ないもの、あります』 クラフト・エヴィング商會「〜あります」というのは店頭によくあるポスターの一文だが、その前に「ないもの」とくるとこれは尋常ではない。ないものがあるとすればそれはあるものでありないものではない、ということで、はなはだ意味…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その四

『ア・ピース・オブ・ケーキ』 吉田浩美 タイトルには「一切れのケーキ」以外に「朝飯前さ!」といった意味があるのだという。吉田浩美さんはクラフト・エヴィング商會のユニットの一人、装丁やクラフト・エヴィング商會名義なので彼女のイニシャティブによっ…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その三

『らくだこぶ書房|21世紀古書目録』 (クラフト・エヴィング商會 写真・坂本真典) 一冊の古書目録がクラフト・エヴィング商會に届く。開くとそれは未来の古書店が2001年から2050年に発行された古書をまとめて2052年に出したもの。その案内に従ってクラフト・…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その二

ミルリトン探偵局シリーズ1『Think 夜に猫が身を潜めるところ』 ミルリトン探偵局シリーズ2『Bolero 世界でいちばん幸せな屋上』 吉田音 なんでも作ってしまうクラフト・エヴィング商會のお二人は、とうとう架空の娘さんまで作ってしまいました。彼女の名前…

クラフト・エヴィング商會を「よむ」その一

『じつは、わたくしこういうものです』 (クラフト・エヴィング商會・写真:坂本真典) 「秒針音楽師」や「冷水塔守」といったとてもユニークな職業をまとめて紹介した一冊と思いきや、実はそんな職業はどこにも存在せず、登場する人たちも作り手の仲間たち。そ…

台風過ぎて、視界晴れる。

昔、きっと誰でもそうだと思うけど、ニュースなどで「台風一過」と聞くと「台風一家」だと思っていた。ニジリ鉢巻の頑固親父とドッシリかまえたお袋さん、そしてその周りにはワーワーギャーギャーいって走り回る子供たち、そんな一家が「台風一家」。ハイも…

猫の手も借りたいのかなぁ。

用事のついでに都内某所を散歩すると、小さな畑に一瞬「猫かな?」と思わせるものを発見。よく見ると風にふらふらと揺れて、目がキラリと光る猫型のパネル。すでに人型の案山子では作物を鳥がついばむのを防げずに、猫の登場とあいなったのか、それとも実物…

懐かしい近未来ビル

仕事で使うバスの窓からほんの一瞬見える奇妙なビルがあったので、ちょっと出掛けたついでにそのビルを探しに足を伸ばしてみました。 そのビルは大久保通り沿いにすぐに見つかったのですが、そこからではその不思議な形が撮影できないのであたりをうろうろ、…

近づき難い花々

数日前のこと。散歩の途中で近くの土手にさしかかると、目に赤いものが飛び込んできた。少し不思議に思ったあと、それが彼岸花であることに気がついた。 荒川のこのあたりの土手は毎年今頃に草が刈られる。この日の土手は刈られた雑草がまだ放置された状態な…

欧州の城・・・・

中部欧州旅行の思い出のアルバムから1枚。 絶対王政期の文化を考えるとき、城の持つ意味が極めて重要であることの確認は、今度の欧州の旅で私が得た収穫のひとつである。ある古城を訪れた際に突然そこの噴水が乱舞するかのように噴出した。そしてその噴水の…

家族の会話の中のツェッペリン

実家に帰ると家族の話題はなぜかツェッペリンであった。もちろんジミー・ペイジのレッド・ツェッペリンではなく飛行船のそれである。聞けば、空に父親が飛行船を見つけ、大声で「ツェッペリンだ、ツェッペリンだ」と騒いだのだが、母親や妹はあまり関心を示さ…

飛行訓練

頭の上でパリバリという音が聞こえて、やがて遠ざかる。でもまたしばらくするとバラバラバラという音が近づいてくる。窓を開けて見上げると自衛隊のヘリコプターが3機、編隊を組んで飛んでいる。音の出所はあれかぁと思って窓を閉めて、また少しするとバリ…