知ったタイトルと消えたタイトル

 「青い麦」や「肉体の冠」のように一場面だけを記憶しているのは、その場面の印象がとても強かったからだろう。しかしそれらとは別に物語全体を記憶している作品もある。
 その一つの映画は、第二次大戦下のドイツで、高校生ぐらいの男の子たちが軍隊に志願する。彼らを前線に回せないので上官は、一人の下士官とともに戦略的意味のない橋を守るように指示する。しかしその下士官は町に出掛けた時に事故で死んでしまう。
 彼が返らぬままに橋を守る男の子たちに、怒涛の進撃を開始した連合軍が迫る。下士官がいれば橋からの撤退命令が出るはずだが、彼らは無駄な戦いの末に一人、また一人と死んでいく。
 この映画、物語のおおよそは記憶していたのだが、タイトルが長い間わからなかった。しかしここでも川本三郎さんの以前の本で写真付きで紹介されていたのだ。タイトルはそのものすばりの「橋」。でも今度は本の方のタイトルの記憶がどこかへ行ってしまって、そのページそのものが見つからないのだ。
カワセミ飛んでます。左上のあたり。