季節の草花 その七
小学一年のとき、チューリップの絵を見たまんまに描いていると、先生から上の「ギザギザの数は三つがいいかな、花びらが三枚だからね」といわれたことがある。
私の絵は花の口の部分がのこぎりの歯のようだったのだ。
確かに後で知ったのだが、花びらのような六枚のうちの三枚はガクと呼ばれる部分で、正式な花びらは三枚だけなのだ。
でもやっばりチューリップはこんな感じだし、見た目には花びらがたくさんあって、まさに小学生が描くとすればギザギザじゃないか。小学校一年の図工の時間にあの先生は何を教えようとしていたのだろう。
そうだ、子どもらしいチューリップの絵といえば、やはりギザギザが三つが定番だったので、その観点からすると私の絵は妙にリアルだったのである。つまりその先生は、その定番的常識に私を留めようとしたのかもしれない。