家族の会話の中のツェッペリン

 実家に帰ると家族の話題はなぜかツェッペリンであった。もちろんジミー・ペイジのレッド・ツェッペリンではなく飛行船のそれである。聞けば、空に父親が飛行船を見つけ、大声で「ツェッペリンだ、ツェッペリンだ」と騒いだのだが、母親や妹はあまり関心を示さず、あまつさえそれが何であるのかもわからない。よって父曰く「ツェッペリンが飛行船だということを知らないなんて・・ぶつぶつぶつ」とのこと。
 父としては、実家のあたりは私の住まいと違って飛行船を見ることがほとんどないので、それを母や妹に見せたかったに違いない。しかし私の独断と偏見によると、空を飛ぶものへの女子の関心は男子の一万分の一程度ではあるまいか。
 遅れてきた息子はツェッペリン型の飛行船について一席論じ、双方の橋渡しをした。で、母曰く「そういえば昔、飛行船焼っていうお菓子があったわね。それは知ってる?」。いいえ、知りません。

蛇足:ツェッペリン型飛行船の悲劇を大胆な仮説で描いたロバート・ワイズ監督の映画『ヒンデンブルグ』には、乗客が札束の入った鞄を開けるシーンがあるのだが、その中には当時としてはありえなかった日本のお札(確か伊藤博文の千円札)が入っていたのでした。ビデオを持っている人は確かめてください。
★マンションに突っ込む飛行船ではなく、マンションの上を飛ぶ現役ツェッペリン型飛行船。この飛行船は8月18日に続いて2度目の登場です。