十年前の住まい探し11

oshikun2010-02-12

 反対運動の存在感
 東中野にはもう一件、マンション「東中野B」があった。それは東中野新宿駅よりの改札を出て、つまり「東中野A」のモデルルームの横を通り抜けて、大久保通りへ向かう南北の通りの途中から右の坂を少し昇ったところにある物件だった。小振りの低層マンションで、小さな丘の起伏をうまく使っているというのがうたい文句だ。
 私は「東中野A」と同様に自転車で建築現場にいってみたのだが、そこで見たのは建設に反対する数多くのノボリだった。地元住民と住む前から揉めてもしょうがないな、と誰もが思ってしまうだろう。
 この物件のモデルルームは、東中野駅中野駅側改札を出て山手通りを渡り、右の歩道を北に行くとすぐのブックオフの2階にあった。物件の発売期間中は、この出入り口近くに地元住民が詰めていたようだ。モデルルームに入ろうとする人になんらかのコメントを寄せたのかもしれないし、売主にとってはかなりのプレッシャーである。私とてそこへ入る気にはならなかったのだから。
 地元住民が揉めているようだったのは、次に見たマンション「新井薬師A」もである。12階建てほどのマンションで、新井薬師駅から歩いて5分ほど、中野駅からは10分以上かかるだろうか。ちょっと安い価格設定になっていると思ったので見に行ったが、どこにモデルルームがあるかも確認しなかった。というのも自分の勤め先には条件が良くなかったからである。中野駅新井薬師駅を使っても、電車に乗っている時間は5分ほどなのに対して、歩いている時間は20分以上となる。自転車でも20分ぐらいは掛かるだろう。つまり比較的いい場所の割には、私個人にとって都合が悪いということになる。
 「新井薬師A」は中野通り沿いの緑の多い地区に建てられていたが、その道路の向かい側の住民が、自分たちのマンションに反対の意志を込めた横断幕を掲げている。さらにあくまでもイメージだが、この物件のパンフレットの造りや価格の設定から逆にちょっと「安普請」さを感じてしまう。まあ客は勝手なもので、高くても安くても不満なのだ。そして何より反対運動の存在は、その是非以前にマイナスイメージ以外のなにものでもないのである。これは買おうとする立場になって初めてわかったことだ。