十年前の住まい探し27

oshikun2010-03-31

 突然の進路変更
 前にも書いたようにこのマンション「浮間舟渡B」の断面は、正方形に近い長方形の角を斜めに切った五角形である。1対1.2の辺をもつ四角形のひとつの角を、一辺は半分、もう一辺は四分の三ほどの場所で折り込んだカタチといったらいいのだろうか。この五角形の各フロアに五戸から六戸の住居が入る。ということは結果的にその多くの住居が「角部屋」になるということだ。
 私が数えたところ角部屋でないのは全世帯153戸中の35戸だが、その多くは比較的床面積の少ない住居である。角部屋だと二面採光となるので、売り手と買い手の間で金科玉条の如く謳われている、「全室南向き」ではない弊害もある程度は払拭されることになる。ほぼすべて住居が奥に向かって、つまり窓辺に向かうに従って広がっている間取りだから、窓と接するスペースも当然広くなる。
 注意して置きたいのは、「全室南向き」という言葉の全室とは全住居の意味であり、その住居の全部の部屋という意味ではない。田の字型住居では四部屋程度あるうちの半分程度は北の外廊下に面さざるを得ない。このあたり言葉の意味がチト一人歩きしているのではあるまいか。
 さて、この「浮間舟渡B」は以上のように玄関近くが狭い間取りとなっていて、そのあたりにはトイレ、次にバスルームやキッチン、そして窓辺にダイニングやリビング、寝室が配置されている。これがどのように機能するかといえば、普段の住人がいる場所が玄関から離れているということだ。繰り返しになるが、田の字型間取りでは少なくとも一部屋、場合によっては二部屋が廊下に面することになり、その部屋は暗く、窓は曇りガラスで開けることはほぼ不可能である。つまり田の字型は効率よく床面積を使っているように見えて、実際にはあまり使い心地のよくない部屋を必然的に作ってしまうことになる。
 それに対して「浮間舟渡B」の間取りは、面積比の80%ほどが外の風景を眺められる窓に直に接しているのだ。さらにその空間は玄関先から離れているので、他の住人の行き来を極力感じなくてするという利点もある。
 そういったことで私はこの「浮間舟渡B」の魅力にかなり惹かれてしまった。しかし前に書いたようにタワーマンションは検討の対象外だった。よって購入検討計画の抜本的見直しをしなくてはならないのだろうかと、やや途方に暮れたのである。