十年前の住まい探し29

oshikun2010-04-15

 ターゲットは絞られた、かな。
 あまり目ぼしい物件に出会わなかったタワー型マンション捜索作業の中で、ひとつだけ網に引っかかったモノがあった。それをマンション「新宿A」としておこう。その名の通り新宿に建つタワー型マンションである。勤め先も新宿区だったので、これは便利かと思った。しかも価格も意外と安いのである。
 だがよくよく考えると、マイナスポイントを付けざるを得ない。新宿という名ではあったが、新宿駅まではかなりの距離があって、実際には新宿御苑駅か、新宿三丁目駅が近いのだ。地下鉄利用となれば、私にとっての利便性はかなり悪くなる。それに新宿は遊ぶにはいいが、暮らす場所としては果たしてどうだろうか。これは価値観の問題だが、ゴールデン街あたりで、一杯やって、チドリ足で自分の部屋に帰り、ベッドに倒れこむ、というのも、悪くはない・・・か、でもそれがずーっとなると、うーむ、、、である。やはり私は休みの日は近くを散歩したいのだ。結局、私は資料請求をする一歩手前までいって、そこから立ち去ることにした。
 そして気持ちは、マンション「浮間舟渡B」に収斂していく。
 今まで私はどれくらいの物件を見てきたのだろうか。その場に足を運んだ物件をランダムに挙げると、鷺宮で3件、東中野で2件、江原町、都立家政、目白、草加、東川口、新井薬師、中野、そして浮間舟渡でも2件、さらに土地と建売を少々、ということになる。マンションだけで14件だ。また本格的に探す前にも何件かの物件を見ている。さらに十件程度の資料請求をしている。
 これが検討した物件の数としては、少ないのか、普通なのか、それとも多いのかは、とんとわからない。もちろん件数だけが十分な検討の要件ではないだろう。しかし気持ち的にはそろそろ、もうお腹いっぱい、なのだった。
 そんな気分でマンション「浮間舟渡B」の資料を見る。私がモデルルームにいった時点で、すでに第1期の販売は終了していて、120戸ほどある分譲物件の三分の二近くの74戸が販売済みだった。第2期の販売物件は34戸、そしてそれ以後に残されるのは12戸に過ぎない。おっととと・・・、ちょっと焦るではないか。
 確かに中江有里似の担当者が豪語するように、この第2期34戸の販売価格は2810万円(約50㎡)から4950万円(約92㎡)の価格の間を、まんべんなく漂っている。
 ところで、マンション「浮間舟渡B」の間取りは、各階のフロアのカタチが五角形なので、五分の二程度の物件には長方形でないカタチの部屋ができてしまう。私はそういった住まいだと安らげそうにない(秘密事項なのだが経験済み)ので、もし購入するとしても、それらはまず最初に排除される。よって第2期32戸の中で、購入する可能性のある物件は絞られることとなる。
 ついでにぶっちゃけると、手持ちのお金をかき集めれば、3500万円程度はどうにかできそうだったのだ。それがこのマンションに惹き付けられた大きな要因だったことは、すでに書いた通り。
 それなら面倒くさいローンの手続きをしなくても済む。当時はローン減税も行なわれていたので、その恩恵を受けようと思えば、所得税が一定程度免除されるのだが、それもどうも面倒くさいと思った。その制度はローン残高が多ければ多いほど、減税額も多くなるのだが、そこにはなにやら国と銀行の共同謀議のような臭いがプンプンしていたし。
 現金で買えるかもという事実が、私の背中を強く押していたわけで、すると当然のことながら、4000万円台の物件は「購入するかもリスト」から消されることになる。そしていよいよ的は絞られていく。
 でも、まだ買うと決まったわけじゃないもんね。