果てしなき旅路の果てに

oshikun2010-06-17

はやぶさ」が帰ってきた。
 今日の話題としては東北新幹線の「はやぶさ」になってしまうが、もちろん小惑星イトカワにタッチしてきて地球に帰還した宙探査体「はやぶさ」のことである。数日遅れのアップだけれど、7年の長き旅路からすれば瞬間みたいなものなので、お許しを。
 もういろんな人がいろんなところでこの「はやぶさ」のすごさを書いているので、私からそれに付け加えることはもうないような気がする。だからアップがちょっと遅れてしまったのかな。
 あの大気圏突入の美しさも、たくさんの人が書いている。実際、数日前に新聞にもその想像図が掲載されていて、「こんなにキレイじゃないないだろう」なんて思っていたのだが、なんとその何倍もゴージャスだった。宇宙からの再突入シーンの中で、これが一番見事だったのではないだろうか。もちろん落下地点を明確にするために、夜間を選んだためでもあるのだけれど。
 たくさんのトラブルを英知で解決してきた点も、みんなが語っている。とにかく諦めずに、手元にある別のモノを工夫して対処するという点では、まるっきり時間枠が違っているけれど、アポロ13号のときを思い出させる。
 すべてが終わって、もう「はやぶさ」との交信ができないことの喪失感を、川口リーダーがインタビューで答えていた。いつもそのことばかりを考えていて、それが成功で終わったとしても、大きな喪失感に目の前にある。予定の6億キロではなく、山アリ谷アリだった60億キロの旅ゆえに、それはまた常人には想像できない深さなのだろう。
 今回の地球帰還のイベントが、とても画期的で感動的だったのは間違いない。でも私が「はやぶさ」で手に汗握ったのは、イトカワとのランデブーのときだった。
 JAXAのホームページでその状況が逐一報告されていたはず。と書いて、ちょっと記憶があいまいになった。手に汗握った、といいながらいい加減なのだが、あれはテレビだったのかもしれない。ミネルバという子機が放出されて、イトカワにずんずんと近づいている。その目一杯にスリリングな緊張感を味わったことだけは確かだ。
 今日、そのカプセルが日本に届くという。マスコミはその中にイトカワの粉が入っているかどうかで、計画が成功か失敗かと書き立てるかもしれない。でも、「はやぶさ」がすでに何百パーセントも成功であったことは、多くの人が知っていることなのだ。
★タイトル横の写真は『日本の宇宙開発』(学習研究社)