できごと

「新宿のありふれた夜」の感想 SIDE:B

前回書いた舞台「新宿のありふれた夜」について、音楽を中心に。 この舞台では、ピーター・ポール・アンド・マリー(以下PPM)の曲が三曲使われている。 まずは「風に吹かれて」。今年のノーベル賞受賞者であるボブ・ディランの代表曲だが、PPMのヒット…

「新宿のありふれた夜」の感想 SIDE:A

21日に新宿のスペース雑遊で、舞台『新宿のありふれた夜』を観る。これは佐々木譲さんの同名小説の四度目の舞台化で、副題は、若松孝二監督が映画化したタイトル「我に撃つ用意あり」。 観客席は100ほどか。空間の六割が舞台で隙間はほとんどなく、観客の目…

文フリに行ってきました。

流通センターで開催している文学フリーマーケット、通称文フリに行ってきた。出版物をいろいろと買うのだけれど、みんなの顔を見にいく、ってことも目的のひとつ。 現地には午後一時過ぎに到着。入り口あたりで双子のライオン堂さんと目で挨拶。まずは残部僅…

皆既月蝕拾遺 その十

映画、そして小説などにも、よく月が登場する。で、しっかり覚えているわけではないけれど、それはないよね、という表現にときどき出会うことがある。 例えば、深夜に上弦の月が天頂付近にあったり、やはり丑三つ時に三日月が浮かんでいる、っていう具合。 …

皆既月蝕拾遺 その九

月を眺める映画のシーンで、何が一番かというと、まさにいわずもがなではあるが、やはりタルコフスキーの「ノスタルジア」で描かれたあのシーンを置いて他にない。 それは主人公の夢幻のごとくに現れた故郷と家族、そして家、それはそのまま主人公、そして監…

皆既月蝕拾遺 その八

月がなぜいいかというと、当然のことながら肉眼で唯一、その何たるかを確認できる天体であるからなのだろう。 ところがどういうわけかどう見えるかは古今東西違っていて、日本ではお決まりのウサギが二羽だが、カニだったり、長い髪の女だったりもする。 見…

皆既月蝕拾遺 その七

昨日、自分が生きている間にはたぶん誰も月には行かないんじゃないのかなぁ、なんてことを書いた。でもその見込み、実は外れて欲しいと思っている。 ただアポロ計画ほどのオペレーションを実験させる主体が、残念ながらこの地球上にないような気もするのだ。…

皆既月蝕拾遺 その六

そして皆既絶食、じゃなかった皆既月蝕というイベントで、みんなの興味がふと月へと向かうこんな夜に思うことは、やはり四十年ほど前のこと。 アポロ計画は11、12、14、15、16、17号の都合六回のミッションで、12人の人間を月面に運びましたが、月の周回軌道…

皆既月蝕拾遺 その五

今回の皆既月蝕の皆既中は、三脚を立てる労をいとい(重里)、手持ちであんな火星みたいな写真を撮りつつ、こりゃダメだわ、と早々に諦めてテレビなんぞを見ていたが、しばらくしてまた窓から眺めると、月はもうすっかり上ってしまってそこからは眺められない…

皆既月蝕拾遺 その四

いつものように曖昧な記憶でそれがいったいどんな季節で、平日だったのか休みの日だったのかもわからない。ただはっきりしているのは、それが満月の夜だったということだけだ。 高校二年生だった。その日も皆既月食の夜で、天文部の一年先輩とふたりで校舎の…

皆既月蝕拾遺 その三

くわしいことは忘れてしまったけれど、月面を撮影する場合、その望遠鏡の焦点距離の100分の1の直径がフィルム面に写ることになるはず。つまり焦点距離が1メートルの望遠鏡だと、1センチの月がフィルムに焼き込まれるというわけだ。 しかしそれは直焦点、つま…

皆既月蝕拾遺 その二

高校時代、写真部の暗室を借りた。オレンジ色の光に満たされたそこでの紙焼き作業は、おごそかな儀式のようだった。 引き伸ばし機の光源近くのフォルダーに、月が写ったモノクロネガのフィルムを差し込み、ピント調整をする。フレームの映像を見るだけでは、…

皆既月蝕拾遺 その一

高校時代にはよく月の写真を撮っていた。それもちゃんと望遠鏡に一眼レフカメラを付けた、まあ天体写真としてはいちおう本格的なモノ。もちろん印画紙に焼くのも自分。フィルムの現像だけはちょっとおっかないので店に出したけど。あれ、本格的ではないかな…

宇宙博に行ってきた。その二十一

「最初の宇宙ステーションはスカイラブ」的なことをどこかに書いてしまったかもしれないけど、それが打ち上げる二年ほど前の1971年に、ソビエトがサリュートを軌道に乗せていた。これがいわゆる宇宙ステーション(もどき)としては世界初といえるだろう。 …

宇宙博に行ってきた。その二十

昨日書いたように、2014年の時点でアメリカは宇宙に人間を送り出すシステムを持っていない。月着陸という国家目標を達成して、さらにカタチの上での冷戦の消滅を受けて、そういったなんちゃって国家目標的なものがアメリカには必要なくなったのだろう。…

宇宙博に行ってきた。その十九

結局NASAは、マーキョリー、ジェミニ、そしてアポロ計画によって培われてきた技術やシステムのほとんどを、ドボンとドブに捨て(過剰な表現です)、スペースシャトルの夢幻へと歩み始めてしまった。 ローコストで宇宙開発をやらなくてはならないという冷…

宇宙博に行ってきた。その十八

そんなわけで、人類で初めて宇宙空間でトイレとかシャワーとか、食卓テーブル、「スポーツジム」、「健康管理器具」、そしてなにより大事なのは身体をおもいっきり動かすことのできる空間を得たスカイラブ計画は、突発的な事故に対応する船外作業まで行った…

宇宙博へ行ってきた。その十七

さて前回の「宇宙博に行ってきた」で出した問題の答えがまだでした。 もう書いた本人も忘れつつあるので、これなーんだ、というその写真を再びアップしてみませう。 はい、なにやらレトロっぽい自動販売機に見えなくもないですが、これこそ人類が無重力下で…

宇宙博に行ってきた。その十六

さて、アポロ計画の残りの材料でチャチャと造りました的なスカイラブ計画でしたが、実は宇宙開発史上画期的な事象のオンパレードではあったのです。 まず最初からして予定になかった緊急事態、昨日書いたように太陽電池パネルの一枚はちぎれ、一枚は少しだけ…

宇宙博に行ってきた。その十五

本日をもって、幕張メッセで開催されていた宇宙博2014が閉幕します。でもこちらの書き込みは他にネタがない等の理由によって、まだ続きます。ごめんなさい。 さて、ご存じのアポロ13号の事故により、その後のアポロ計画は大幅な変更が強いられた。まずは計画…

宇宙博に行ってきた。その十四

アポロ司令船のハッチは、アポロ1号の訓練中に三人の宇宙飛行士が死亡する火災事故を受けて、大幅に改良された。 そのハッチがこれ。レプリカだけど、司令船の外面と違ってずいぶん精密に作られているように見える。改良後の大きな変更点は、内部からも簡単…

宇宙博に行ってきた。その十三

はい、それでやっとアポロ宇宙船です。ハッチを取り除いたところからうかがえる内部は、訓練用シュミレーターとして使われていたものなので、ホンモノとほぼ同じ。ただし外装はただアルミ箔をペタペタと貼っただけで、レプリカと呼ぶのも躊躇してしまいそう…

宇宙博に行ってきた。その十二

これはアポロ計画で一番有名になった装置かもしれない。 四角い金属製の箱型ホディの一方にいくつかの穴があって、そこが白い紙か布のようなもので塞がれている。 これこそがアポロ司令船用の二酸化炭素除去用のフィルターで、アポロ13号で事故が起こったあ…

宇宙博に行ってきた。その十一

「……こちら、ヒューストンです。コロンビア、よく聞こえます。どうぞ……」とかいうアポロ11号の同時通訳者西山千さんの言葉で初めて知ったヒューストンという地名。はい、その地にある管制センターには、こんなコンソールが何十もズラリと並んでいて、前方の…

宇宙博に行ってきた。その十

昨日のジェミニの話の続きだけど、あと二つだけ、このジェミニ計画で達成すべきことがあった。それが月までの飛行を想定した長期間の宇宙滞在と、当時は宇宙遊泳といわれた船外活動だ。 ジェミニ宇宙船の有人飛行は1965年と1966年にそれぞれ六回行われ、多く…

宇宙博へ行ってきた。その九

マーキュリー計画がとりあえず人間を宇宙に飛ばすことを目的にしていたのに対して、次の二人乗り宇宙船ジェミニ(上の写真)には、月に行くための重要なミッションが課せられた。まずは軌道上で二機の宇宙船が接近し、そして結合する技術と管制システムの確立…

宇宙博に行ってきた。その八

さすがにマーキュリー計画の記憶はない。自分のまわりではなく、世の中の出来事は基本的には先生の話とかテレビのニュースで知ることになるが、その後、半世紀も記憶に残っているような事項は、そう多くはないし、憶えていると思っていても、後から知ったこ…

宇宙博に行ってきた。その七

焼き過ぎたピザ、ではなくて、月着陸船の脚です。この四本で着陸船を支え、月から着陸船上部がリフトオフする時は、「打ち上げ台」を支えることになりました。 つまり月面第一歩はアームストロングの足ではなく、その脚が印したわけです。まあ、その前にも無…

宇宙博に行ってきた。その六

ピンボケでスミマセン。月着陸船の内部です。たぶん操縦部分のみが再現されていて、実際の居住部分の三分の一程度でしょう。特徴的な三角形の窓が見えますね。いわずと知れたアポロ11号では、ここにアームストログ船長とオルドリン飛行士が立ったままで、あ…

宇宙博に行ってきた。その五

はい、月面車です。宇宙関連実物グッズ(?)には、なかなか機能美に優れた点が多いと思うのですが、これはそういったことがほとんど感じられません。まああくまで個人的見解なので、これぞ合理性の極致と感じる方もいらっしゃるかもしれません……が。 シートな…