『ミツバチのささやき』をささやく04

oshikun2010-08-09

 朝。シルエットだった建物に光が当たり、やがてそれが学校であることがわかる。低学年の子どもたちがその建物に次々と入っていく。最後にアナとイザベルらしい二人が登校して、二階から旗が出される。スペインの国旗。
 子どもたちは算数の足し算の歌を歌う。「2たす2は4、4たす2は6・・・」。最後にお祈りが付け加えられる。
 教室の後方にはスペインの地図。そして前方中央には十字架と、その下にフランコの肖像。黒板は小さい。
 先生は板で作った内臓模型を出す。名前はドン・ホセ。いくつかの臓器を子どもに付けた後で、先生は「ドン・ホセは歩けるし、呼吸もできる。食事もできる。でもまだ足りない、とても大切なモノがある」といって、アナを指名する。「大切なものは何」。アナはイザベルの助けを借りて「目です」と答える。
 これが朝、フェルナンドの机にあった二羽の鳥の折り紙に通じる。そのとき、一匹だけ目が開いてはいなかった。これはアナの目の獲得を意味するのか。映画「フランケンシュタイン」と姉イザベルとの会話で、彼女は目を得たのだろうか。
 場面が変わり、学校帰りに、荒野を見下ろす丘の上に立つアナとイザベル。遠くに小屋が見える。イザベルはその小屋で「精霊」と会ったという。ふたりはそこへ行くことにする。丘を駆け下りる。採録シナリオによると、このシーンで流れる曲は「さあ嘘の話をしましょう」という童謡だそうだ。
 このふたりが小屋に向かうシーンが美しい。ふたりはすぐに小さい点となる。荒野の枯れ草が風にそよいでいる。
 ふたりは小屋の近くまで来る。イザベルがアナに何か耳打ちをする。たぶん「私が観てくるから、あなたはそこにいて・・」といったことだろう。
 イザベルは井戸を覗き込み、小屋に入る。その間、アナはひとり荒れた農地に立つ。イザベルが戻ってきて、アナといっしょにその場を立ち去る。しかしやがてアナがひとりだけで戻ってくる。ここからアナの歩みがゆっくりと始まる。