街角の古地図

oshikun2010-08-17

 街を歩いていて、フェンスや壁に打ち付けたお手製の地図を見かけることがある。一般的には何んという名前なのだろうか。一度だけだが、この地図を持ち歩いて「営業」しているオジさんを見たことがある。それで判断すると、街の商店などを目立たせて表示するかわりに、いくばくかの「広告料」をもらうようである。
 そういえば一部がやたら大きく表示されていて、もはや地図としての機能が損なわれているものを見たことがある。逆に縮尺もきちんと表示されていて、おおいに役立ってくれる地図に出会ったこともある。
 こういった地図はたぶん撤去されることもなく、ただ朽ちていくのを待つのだろう。そしてたまには、地図よりも早く街の方が朽ちてしまうことがあるかもしれない。街がなくなった時点でその地図は役割を終えるのだが、その瞬間、かつての街の面影を表現するという、より重要な役割が生まれる。まあ、そんな地図はまれではあるのだけれど。
 ある日、そういった地図のひとつを見かけた。周辺が剥れて、古地図のようになっている。周辺には暗いので、実際にそれがどのくらい古いのかはわからない。しかし、この古くなり方は、立派に地図としての道を歩んでいるように思う。