同じピアノでも、こんなに違う。

 めっちゃひさしぶりに音楽のことを書いてみようと思います。でもこれって昨夜の坂本龍一山下洋輔のジャズ番組に影響ではありませんから、ハイ。
 調べてみると、遥か昔にジャズアルバムの推薦盤の紹介を二回だけ書き込んだことがありました、今回はその続かなかった続きとお考えください。あまりに有名でこちらとしても恥ずかしくなるほどの有名盤もあるのだけれど、まあそれもまた名盤ということで、お許しアレ。
 で、今回は三人のピアニストをご紹介です。この三人の音の違い、ご関心をお持ちになりましたら、ぜひご確認ください。
 ★AFFINITY BILL EVANS
 まずはまたエバンスだけど、彼の中では比較的マイナーなものを一枚。ハーモニカとピアノがきれいにきれいに流れていきます。こういった組み合わせを考えた誰かに思いっきりの拍手です。
 お得意のいわゆるトリオものとは一線を画し、その分エバンスも自由にやってるなって感じ。1979年録音ですから、なんとエバンスの死の前年ですが、ラストレコーディングといわれているキーストンコーナーでのライブ盤に見られるような、ガンガンと攻めたてる早い弾き方ではなくて、ほんとうにゆったりとしてます。
 年甲斐もなく、というか長年の念願叶ってスポーツカーを運転する50代オヤジが、ジャズなんてなあんにも知らない女の子を横に乗っける時(まずありえないだろうけど・・・)にジャストフィットって書いたら、ファンに怒られるかな。
 ★THE KOLN CONCERT KEITH JARRETT
前のエバンスが意外と知られていない「女の子うっとりジャズ」だとすると、こちらは誰でも知ってる「女の子うっとりジャズ」の典型バージョンという感じ。
 キース・ジャレットのソロ・コンサートシリーズではやはりメインといえる作品で、これ全曲がインプロビゼイション。出だしは初代ホンダ・レジャントやソアラのコマーシャルに使用されています。小生も大学時代サークルBOXで、レンタルレコードを録音したテープをよく聞いていたものです。
 どうしてこんなにきれいなピアノの音が出せるのだろうと不思議でした。ビル・エバンスビレッジバンガード録音での話(2009年8月21日の書き込み参照)ではありませんが、このピアノの音にはその音の中自体に雑音がないのです。あまりに油分のないお肉といった感じで、こってりとしたジャズが好きな人からは嫌われていますが、そのテクニックの高さは相当なもの。なおケルンのスペルにはOの上にチョンチョンが付きます。
 ★US THREE HORACE PARLAN
 ホレス・パーランは、キース・ジャレットとうってかわって、こちらはブルースフィールというか、ダウン・ツウ・ジ・アースって・・・・イメージのピアノトリオです。まず最初のイントロで身も心もドロドロになってください。
 ピアノの鍵盤がタバコの脂でベトベトになっているみたいです。このパーランという人は左指が不自由なので、特別な弾き方になっているということなのですが、素人にはあまり分かりません。でもそのニュアンスはつかめるはず。水に例えるとキース・ジャレットは蒸留水。エバンスは六甲のおいしい水。そしてホレス・パーランは隅田川の水でしょうか。しかしパーランさん、けなしているのではありません。魚が住めるのはあなたのところだけなのです。