左腕の思い出

(17日の続きです)
 そんな感じでは手術は終わったのだけれど、麻酔をされたあとのことは、ほとんど何をされているのかわからなかった。ただどうやら指の先はしっかり動く(当たり前だけど)ことは試してみてわかった。まあ、その辺の神経は通じているのだろう。 
 神経といえば、腕の前側にはマスク美人の女医さんがいて手術をサポートしているのだが、ちょうど腕のあたりに彼女の胸が当たるのだった。しかし手術なのだから、こちらから動かすことはできません。はい。
 オペが終了すると、
 「見ますか」と先生がいう。もちろん切り取られた患部のことだ。一応、聞くということは、そんなもの見たくもなかったのに、見せられたというクレームでもあったのだろう。
 もちろんあんまり気持ちのいいものではないが、見ることにする。
 「これですよ」
 とアルミの皿(だよね)に載せられたそれは、なにやら、アサリかシジミの身のようなもので、確かにコリッとした脂肪のかたまりとおぼしきものが付いている。
 まあ私は、
 「これですか。はあ、なるほど、なるほど・・」
 ぐらいしかいいようがない。私が見終わると先生はそれをカメラで撮ったあと、透明なケースに入れて、なにやら書いたりして、先生方のお仕事終了である。
 「それでは失礼します」
「ありがとうございました」
 ということで、手術室にはマスク美人の看護師さんと残されることになったのだ。
(この項目、続いてしまいます)