色紙のトウモロコシ

oshikun2011-01-04

 今日は父の誕生日だったので、夜、「おめでとう」の電話を入れた。85回目の誕生日である。大正15年、つまり昭和元年と同じ年の生まれなので、昭和の時代とともに歳を重ねたことになる。
 昭和20年の春に仕事で当時の満州に渡ったという。独り身だったので、引き揚げは楽な方だらしいが、それでも相当な苦労があったようだ。でもあまり多くを語ろうとはしない。
 最近、彼は色紙に水彩で静物画を描くことを覚えた。それには短い文も添えられている。昨年の夏にはトウモロコシの絵に、当時の思い出を綴っていた。引き揚げのために乗った貨車が突然停まると、その前に黄色いトウモロコシ畑が広がっていたというものだ。
 ほんとうは、まだまだいろんなことを聞いておかなければいけないと思うのだけれど。