ふた駅分の記憶喪失

 夕刻、友人より電話あり。赤羽にて、いつもの店でいつものごとく酒を飲む。焼き鳥にレモンサワー。店のおばさんの「八千いくらです」という声が聞こえたので、びっくりしたが、もちろんそれはお釣の金額だ。
 やがてこんできたので、河岸を変える。友人は初めての店でもほぼ躊躇なく入る。店長が宮古島出身という、カウンターだけの小さな店だった。今度は日本酒。
 友人の決まり文句、「今日はいい日だね」が今夜は出ない。そのことを私がいうと、彼はただ笑っただけだった。
 たいして飲んでもいないのに、帰りの電車の記憶がない。