喉を潤すもの

 朝日新聞の今日の朝刊に、出版社「クレイン」を一人で切り盛りしている文弘樹さんが登場していた。そのお顔も初めて拝見する。文さんとは『佐藤泰志作品集』が発行されるときに、メールのやり取りをさせていただいたことがある。ただの一読者の問い合わせにも、丁寧に対応してくださった。
 以前ブックマークしたクレインのホームページからブログに入ってみると、別のメディアからもいろいろと取材を受けているのだという。その文面から、また数年前のメールの記憶が甦ってくる。
 デジタル情報やネット配信が大河となって流れている。その流れを押し留めることはできないが、そういった状況であるがゆえに小出版に注目や期待が集まる。「クレイン」のような存在はひとすじの清流として、文字の送り手として、求める人の喉を潤してくれるのだろう。