今村監督のニクイところ

 民放のBSで『カンゾー先生』をやっていたので、ハードディスクに入れて、あとで観た。もちろんあの麻生・時効警察・久美子のヌードシーンが目的である、とここに正直に書いておこう。
 で、いっしょに観るツレにそんなことを伝えたら、「ええっ彼女脱いでいたの」という。そうそう、あえてここには書かないけれど、いろんな女優さんがその若かりし頃、バッチリというかチラリというか、いろいろと脱いでいるのです。
 さて映画が始まった。ああそうか、今村昌平監督の作品であった。第二次大戦末期、瀬戸内を舞台にした映画で、柄本明演じる医師は、みんなからカンゾー先生と呼ばれていた。なぜならば・・・、と書いていくと切りがないので止める。
 そして五分ほどたつと、この映画は一度観ていたことに気がついた。でも麻生久美子のあのシーンがあったことは、しっかり忘れていたのだが。ところで、あの部屋の中でのシーンは吹き替えだろうか。今村監督がそんなことをするとは思えないのだが、顔が見えないアングルは妙に不自然でもあった。しかし、海でのシーンは正真正銘の彼女。その天真爛漫さ。むむむ、柄本氏の視線がうらやましくもあり、また悲しくもあり。
 ところで本日の本題はそのことではなかった。この映画、エンドタイトルを眺めていると、キャストの中に高橋晄正先生の名前があるではないか。一瞬なにがなんだかわからなくなったが、高橋さんはカンゾー先生が出席する帝大医学部のパーティに、主賓格として登場していたようなのだ。
 「やあ赤城君、今日の主役は僕でなく、君のようだね」というセリフの先生が、きっと高橋さんなのだろう。いま手元に資料がないが、高橋さんは宇井純さんの自主講座の中で、公害原論か大学論の中で薬害をテーマに講義させたはずだ。製薬メーカーの不当な行ないに対して、毅然と立ち向かい。そのことによって、当時在籍していた大学では宇井さんと同じように地位に恵まれなかったのだと思う。そんな高橋さんをあの学士会館のイベントで主賓に遇しているところが、今村監督のニクイところなのだ。
 そんなことがわかっただけでも、この映画をまた観た甲斐があったというものだ。もちろん、麻生くんのお尻もチャーミングだったけどね。

 昨日の『禁断の惑星』でひとつ忘れていたことがある。映画の後で、おまけの予告編を観たら、あの『スター・ウォーズ』とそっくりのタイトルが始まるではないか。文字が斜めに流れてくるあれだ。もちろん半世紀以上前のものなので、チープには違いないけど、ルーカスさんはこれをパクったのかもしれないなぁ。