小心者の外泊

 またグラグラときたので、ピューと実家に二晩ほど避難していました。ハイ、だらしがないのです。そしてただいま戻りました。帰りがけに「さやの湯」という温浴施設に立ち寄り、まさに極楽気分。五時過ぎだったので、仕事帰りの人も多く、なかなかの賑わいです。露天風呂で交わされる会話も興味深いものでした。
「こんどさ、同棲することにしたんだ」
「ええっ、あっちの親にはいったのかよ」
「いうもなにも、会ったことないし」
「ああ、そうなのか」
「会ってもいいんだけど、最初から、いっしょに暮らしてますっていうのもなぁ」
「ところで、どうなんだよ。金の方は」
「親なんかより、そっちが問題だよな」
「オレなんかも、いろいろと理由つけて、先月分まだ支払いないんだぜ。震災とか、社長が倒れたとか、っていって、結局16万のはずが、まだ8万しかはいっていない」

 まだ空には青みが残り、やがて西に明るい星を見つけました。やっぱり名実ともに地に足を着けて暮らすのがいいようです。