風景のその後

 今日、駅前を歩いたらひろこさんに捧げる花や供物がさらに増えていた。
 花束が4束ぐらい、ジュースなどの飲み物が十数本、そしてお菓子などもたくさん、それらはまだまだ増えるかもしれない。
 この駅を使う人なら彼女のことを知らない人はいなかっただろう。でも、こんなにも「親しまれて」いたとは知らなかった。いつもみんな彼女のことを心配していた。声を掛ける人もいたけれど、なかなかそこまではできない。そんな悔いが残っている。そんな気持ちが集って、花や供物になったようだ。
 歩道を歩く人がみんなその「祭壇」を一瞥する。ちょっと立ち止まる人もいる。もし留まっていれば、お団子やお菓子を捧げる人を見ることになるだろう。通行人がみんな葬儀の参列者にも思えてくる、駅前の小さな自転車置き場の前が、そんな不思議な空間になっていた。