「その他」が今では大活躍?

 遅ればせながら、佐々木譲さんの『警官の条件』を読んだ。相変わらず緊張感に満ちた文章だ。一課と五課、そして後半は加賀谷を入れて、三つの視点がグルグルと展開していく。その映画的なスピード感が心地いい。
 実際のものがどれだけ反映されているのかはわからないが、捜査手法はそこまで描写していいのかなと思ってしまうほどリアルである。
 譲さんの作品の多くは地図を片手に読むと楽しさ倍増なのだが、この作品もその例に漏れない。東京だからもちろんそれなりの土地勘もある。その点は札幌を舞台にした『密売人』などの道警シリーズでは味わえない。
 しかし、おっと手元の地図は湾岸部分がチト古すぎた。ならばネットでという方法もあるが、それだとなぜか私の面白みが削がれてしまう。不思議だ。
 しかし残念というか、困ったことに襲われるのは、ドラマ化された『警官の地』を観てしまった読者である。やはりどうしても加賀谷役の佐藤浩市さんがはまり役過ぎて、『警官の条件』を読んでいても、加賀谷は彼の姿カタチでしか浮かんでこないのだ。ほんとはもっとオヤジっぽい人なんだろうけれどね。
 ソレに比べると私の場合、和也役はなんと伊藤英明さんではなく、その父親だった吉岡秀隆さんが浮かび上がってしまうのだ。どうしてだろう。
 さて、この小説、まず間違いなく続編が存在しなくてはならないだろう。和也の仕事はまだ終わってはいないのだから。(詳しいこと書くとネタバレになるのでやめておきます)
 ところでこの書き込みをするために『警官の血』のキャストを見てみたら、「その他」の役者陣で意外な発見が。
 民雄が潜入する組織のリーダーが平岳大さんで、彼は平幹ニ郎さんの息子。最近NHKの大河や歴史ドラマに登場している。
 民雄の友人は田中圭さんで、今は引っ張りだこのNHK連続ドラマ『おひさま』のお兄ちゃん。その恋人はなんと今の連ドラ『カーネーション』の主人公、尾野真千子さんなのだ。
 さらに連ドラで彼女の母親役の麻生祐未さんと、やはり連ドラで彼女のライバル?役の栗山千明さんもリストに登場している。芸能界のプロダクション事情によるものかもしれないけれど、この「その他」の人たちが今のNHKのドラマを支えちゃっている感じですね。