うたた寝の中で会う。

 夕食のグラスに2杯のワインがことのほか効いて、『江』を夢うつつで観つつも、9時あたりからソファで3時間ほどうたた寝をする。しかも寝っ転ろがるのではなく、座ったまま、つまりテレビを観た姿勢のままである。いやはやこんなことは初めてだ。
 私はこのうたた寝の中でいろんな人に会う。しばらく会っていない人、そしてもう会うことのできない人。
 で、ふと思う。歳を重ねることでこうして時間の過ごし方も変わっていくのかと。眠りかけた私を見て、本来は惰眠の王者であるツレがひざ掛けなどをのせる。まるで勝ち誇ったかのように。おっとこの風景は最近観た「カーネーション」の宝田明(観てない人にはなんのこっちゃだけど)ではないか。そうやって老いはゆっくりと確実にやってくるのではあった。