天体望遠鏡への遠望 その10

(昨日の続き)
 そんな感じで月面写真はなかなか面白いし、ただ望遠鏡で眺めるだけでも、とにかく近いだけのことはあって、リアルさは格別である(個人の感想です)。
 ただ一点つまらないのが、月自体がまったく変化がないこと。もし小さな煙でも見つけることができれば、それはもう歴史的な発見となってしまう、まさに動きのない世界なのだ。
 そういったことでいうと、木星はその表情をコロコロと変えてくれ(ているように見え)る。まずは大赤班である。まるで目のような模様がひとつだけ、木星本体のいくつもの筋の中に発生している。木星の自転は早いので(ええっと4時間だっけ・未確認)、それが観ている間にも動いてくれる。そうただ動いていることを確認できるだけで、楽しいのだ。わかるかなぁ。
 そして動くといえばガリレオ衛星だ。木星の周りを回る4つの月は、アマチュアの望遠鏡でもよく見える。たまにその衛星の影が木星表面に落ちて、黒々とした小さな点として観測できる。それは素人でも「うぉ!」と声を上げる光景だろう。
 私はよく白い紙にミカンのようなややつぶれた丸を書いて、その中に望遠鏡を覗きながら木星の筋と大赤班を描いた。もちろん何の学術的に価値もないけど、考えてみれば一番遠くを描いたスケッチだったわけだ。(もちろんアンドロメダ大星雲とかオリオン星雲をスケッチできないわけではないけど、ね)
 しかしそれにも増して心ときめかす出来事があった。それが火星の大接近だったのである。(・・・続きます)