列車は、まだ大阪に着かない

 3月31日、雨降ったり止んだり、それより何よりすごい風。
 これから大阪へと向かうつもりが、埼京線が停まってしまいそうなので、予定よりも少し早めの出立。案の定、電車は遅れていたが、停まってしまうほどではないらしい。
 数分遅れただけで、ゆっくりと入線している。赤羽駅京浜東北線に乗り換え、これもまた僅かな遅れが出ている。埼京線同様に荒川を渡ってくるから、その区間が強風の際に速度制限が掛かるようだ。
 ツレは赤羽駅構内の新しいなった駅キュートとかいう商店街で、弁当だかおつまみセットを買うとはしゃいでいたが、そんなことはパス。今回の大阪行きのチケットは、ホテル付きの廉価版で、新幹線チケットは指定の便を逃すと、別の便への変更ができない仕様なのだ。是可否でも12時の出発に間に合わなくてはならない。
 埼京線と同様にゆったりとしたスピードで、京浜東北線の列車が入ってくる。でも以降の区間はちゃんと走ってくれて、何の問題もなく東京駅へと到着。そししさっそくマテ状態でハーハーいっていたツレのお楽しみタイム、弁当購入時間とあいなった。はいはい、だからどっちでもいいって。
 今回のネットで買った「ツアー」にはどうしたわけか、350mlの缶ビールか、500mlのソフトドリンクのどちらかkサービスする券が付いていて、もちろんキヨスクでは迷うことなく缶ビール、しかも一番高いプレミアムをチョイス、いやはやなんとも・・・。
 そして列車は、いく。
 新横浜に着く前につまみも弁当も完食。もちろんビールも飲み切っしてしまうと、前のほうからは、いい気分前線の到来。
 でもそれに混じってはいけないのだ。今日は大阪までの時間を読書に勤しむことに決めていたのである。実は昨日の30日までに某原稿を仕上げて、それを送信したばかりなので、『原色の想像力2』を読む時間がほとんどなかったのだ。
 でもそれじゃあ、これからお会いする面々に失礼だということで、読書時間に設定していたわけである。でもねえ、だったらねぇ、ビールなんか飲むなよなぁ、だよね……。
 で、まずはオキシタケヒコさんの『What We Want』を開く。
 新幹線の僅かな揺れに身を任せつつ、心地よきスペオペ空間に浸ると……、あぁ、松崎さんのいっていたトリぽんって、酉島さんのことじゃないんだ、と気づき……、しだいに連日の睡眠不足もあって、意識はやがて宇宙空間へとたゆたうこしになって……、私はまるで目隠しして木馬に跨ったドン・キホーテサンチョ・パンサのこどく、地上にありて、深遠なる空間を飛び続けたのではあった。
 そしてそれでも列車は、行く。(続きます、っていうかなかなか大阪に着かない)