虹代5分で2000円也。
(昨日の続き)
かくして、缶ビールのアルコールが全身に回り、駅弁の消化のために胃袋周辺へ血液は結集し、新幹線のストレスレスの揺れによって、オキシさんの「What We Want」の世界が自分の意識に凝着していった。
それを普通の人は「夢」と呼ぶ。
次の行へのジャンプがままならず、前の行までの情景に自分がいるのに気づく。意識の中で物語が勝手に進行してしまい、目前の文面の世界との齟齬が生じる。
そして物語が終わり、その後味に浸りつつ、私は別の物語を見るために、今度は本当に目を閉じた。
ということで、御免なさい、酉島さんの「洞の街」は大阪到着時点でまだ読んでなかったのです。
そして列車は、いく。
覚醒と夢見心地の波の間に間の車窓に、名古屋、京都が流れ去っていく。
新幹線は14時33分の定刻に新大阪着。
ええっと、地下鉄御堂筋線だよな、とその案内を探すか、それがない。ただ地下鉄とあるだけ。と思ったら、改札の向こうに手書きの案内版があって、それが御堂筋線の方向を示している。
あっちだね、とツレを探すが、彼女は遠くで駅員と何かを話している。なんと今回の大阪詣でのすべての切符をコレクションするために、いちいちお伺いを立てているのだそうだ。そっちに行く前に、コッチにお伺いを立ててはくれまいか。
そして初体験です、エスカレーターの右側立ち。聞いてはいたけれど、なるほどこれがそうか。あーそれにスイカもパスモも使えない。新大阪から心斎橋まで、久しぶりに切符なんぞを買う。
で、心斎橋の大丸のデパ地下で、今度は三時のおやつだって。やっぱ私のデブの原因はツレにある。
ホテル日航大阪にチェックインしていると、隣りからツレが口を出す。あのう、見晴らしのいい部屋がいいんですけど。まったく何と煙は何とやらだ。
なにいってるんだよ、このコースじゃ、そんな部屋に入れるわけないじゃん。そうしたいのなら、別料金を払いなさいな、という意味のことを、最上級の言葉遣いで説明される。プラス2000円とのこと、私はどーでもいいのだけれど、ツレはそうしたいという。まったくもう。
そして28階へのおのぼりさんが行く。外はあいにくの曇り空。
ゴロンとベッドに横になり、窓の外に流れる雲を見ていると、突然、陽が射してきて、大きな虹が架かった。それも三重の虹だ。でも5分ほどで消えていく。
ね、幸先いいでしょって、本日の5分間の虹代2000円也である。(続きます。昨日の書き込みを少し直しました)