あの駅は埋められていた。

 30年ぐらい前の、しかも東京のお話を書いているのだけれど、自分がしっかりそこで生きてきたくせに、なかなか時代考証がたいへんなのです。
 例えばとある駅の描写なんだけど、書いたあとで、いまは地下化されていることをハタと気づき、慌ててそれが何年頃だったか調べる。まあ、そんなことの繰り返し。また別のお話だけで、登場人物を関越道にのせたのはいいが、あとで、まだ開通していないことがわかる。
 ということで、交通網の整備状況や個々の駅の情景から、家電、通信手段などなど、70年代以降の時代考証って、普通の生活を描くだけでも、もしかすると、江戸時代のそれよりもたいへんなのかもしれない。
 そしてそれはまだ続いている。現代を描くには、スマートフォンのアプリがどのように活用されているか、なんてことをちゃんと年代ごとに調べなくちゃならないだろうね。
 まあ、私には絶対にムリだな。ツイッターだってまだよくわかってないし。