時代の煙たさ

 昨日書いたこととは別件なのだけれど、故あって偶然にも、30年と少し前の日本を舞台にしている小説を読んでいる。
 主人公は30歳になるかならないかの若者で、彼が数年前のことを回顧しつつ、すでに老成というか、達観というか、そんな感じで時代を見ている。
 で、昨日の時代考証的な視点でみると、その主人公や登場人物は、まさに挨拶でもするように煙草を吸う。新幹線の中、レストラン、仕事場、バーなどなど、いま同じような描写をすると、その人物に何らかのキャラをつけるためのはずだが、この小説の場合にそれとは違う。
 ここまで書いて、その小説が何であるのか、だいだい想像できてしまう人がいると思うけれ゛と、それはたぶん当たりなのだ。
 この作品はほぼリアルタイムで書かれている。だから時代考証も何もないのだろうけど、同じ作者によって近年、やはりその五年ぐらいあとを舞台にした作品が書かれている。
 さて、その作品がかつての作品ほど煙かったかどうか・・・、アレ見事に忘れてしまっている。昔の作品ほどに出てくれば、間違いなく「鼻について」いるはずなのだけど。