ソラリスのストーカー04

 長々と思わせぶりに書いてきた「惑星ソラリス」の字幕はことはひとまず置いて、先にデジタルリマスター版の画像について考えてみることにする。
 今回のリマスターによって、かなり細かいところまで確認できるようになった。川の流れに揺れる水草の一本一本や、野原にたたずむクリスの衣服の素材や皺の様子がよくわかる。ただ鮮明に見えるようになりつつも、昔から観てきた者に違和感を与えるようなことはなかった。
 かつて私はDVDの新品がなく、中古品が高値だったビクトル・エリセの「ミツバチのささやき」を、画質の悪いテレビ放映の録画VTRで何回も観ていた。そして紀伊国屋書店がDVDBOXが発売すると聞き、いさんで購入したのだが、長い間、VTRの暗い画像に親しみ過ぎたためか、その高画質の画像にピンとこないのである。確か監督自身がそのリマスターを監修していたはずなのだけれど、私の感覚は結局、暗く不鮮明な経年変化はなはだしいヒデオに慣れ過ぎていたのだろう。
 しかし今回の「惑星ソラリス」はそんなこともなかった。また鳥のさえずりや馬のいななきなどの音がとてもクリアに聴こえるようだ。そんな中で、あくまで個人的な感想としては、さらにハリーの美貌というか若々しさに磨きがかかったということである。