ソラリスのストーカー05

 「惑星ソラリス」を初めて観たのは、1977年か1978年。当然そのときの私は、今の私よりそうとう若かった。そのとき感じたのは、登場したハリーが30歳過ぎの女性に思えたということである。
 はたしてこのステーション上に現れた彼女がその後そこで年齢を重ねていくのかどうかわからないが、これらは確実に物理的社会的齢を身にまとい、あっという間に、最初に感じたハリーの想定年齢さえ超えていった。
 ところでレムの原作ではこのハリーは19歳ということになっている。彼女が自殺をしたのがその年齢なのだ。それを知ったときに映画の年齢とはだいぶ違うな、と思ったのだが、よくよく調べてみると、ハリー役を演じたナタリヤ・ボンダルチュクさんは映画製作年の1972年でまだ22歳だったのだ。原作ほど若くはないが、かなり近い線であったことがわかる。
 そして彼女が演じるこのハリーは、こちらが年を取っていくに従ってゆっくりと若くなっていく。もちろん画面の彼女が姿を変えるのではなく、こちらが彼女をさらりと追い越し、そして遠く離れていった結果なのである。
 そしてその現象が今回のデジタルリマスターで格段に進行したと感じた。
 ハリーの肌はツルツルになり、声もときに少女のそれであるように聞こえるのだ。