昭和33年の小国民01

 昨日書いたようなタイプの宇宙開発についての想像図は、少し前の宇宙関係の本には数多く掲載されていた。
 そしていちおう「スペースシャトル30年のすべて」では、そのようなイラストはその一枚だけだったと、その名誉のために付け加えておこう。
 さて、冒頭でいった昔の本といえば、私の手の届くところに、原田三夫さんの『明日の宇宙旅行』(新潮社)がある。これは「小国民の科学」の一冊目に当たり、それからもわかるように、この本は子どもが対象のようだ。しかし内容はかなり歯ごたえのある。
 もちろんその中に多数掲載された想像図の魅力は絶大といえる。でもそのことは後回しにして、違った面からこの本を見ていくことにする。
 まず特徴的なのは発行が昭和33年、つまり1958年6月ということ。この年の1月に、アメリカは人工衛星エクスプローラーの打ち上げに成功した。ソビエトスプートニクに遅れること3ヶ月である。
 当初、アメリカはバンガードに期待をかけていたが、見るもその無残な結果に、急遽フォン・ブラウン一派に白羽の矢が立ったわけだ。
 そのへんの複雑な事情が、この本にも反映してしまっているようなのである。まさに「小国民」も、時代の子とならざるを得なかったわけだ。(続く)

注:以下のコメントはかつて8月31日の日付で、上記のフロントページが設定されていたことによるものです。わかりにくくてすみません。