NOVAの中のSOLARIS

 遅ればせながら『NOVA8』の、飛浩隆さん作「曠野にて」を読んでいたら、七歳の少年の選んだセンテンスとして、「欠陥を持った神というコンセプトは、どこから生まれてきたんだね?」という言葉が出てきた。
 もちろんあの『ソラリス』のクライマックスで、クリスのいうソラリスの仮説に対して、スナウトが語る言葉である。
 この会話自体は最初の日本語訳にはなく、ハヤカワ文庫SF版に「ところで不完全な神なんて考えがどうして生れてきたんだい?」として出てくる。そして国書刊行会版では、そのまんまの訳として登場している。つまり克哉少年は、沼野さんの訳を採用したんだね。