ハメルンおばさん御一行

 埼京線の昼間のダイヤは田舎のバスなみに本数が少ないので、いつもそれを確かめ田植え、じゃなくて、た上で家を出るのだが、今日は改札口に何人かの人、で電光板を見ると、過去の時間の表示、ってタイムトリップしたわけではなく、ただのトラブルで、大宮・赤羽間が上下線ともずいぶんと前から停まっていたのだ。
 と、そこのどーしようかなといった面持ちの男たちに混じってきたのは、数人のおばさん連合、あれいやだ停まっている、どーしましょう、困ったわねえ、と自分たちだけでなく、そこにいるみんなに聴こえるように大きな声で話し出す。
 そしてリーダー格のおばさんなのか、こんなことを述べたのだ。
 「ほら、大宮から赤羽まで不通で、赤羽から先は動いてるんだから、赤羽まで行けばいいのよ」
 と、他のおばさんたちも「そうよ、そうよね」、「それがいいわ」といい出す。
 ええっ、ここは赤羽・大宮間のとある駅なんですけど、と思う間もなく、おばさん連合は切符を買いに行ってしまった。
 かくしてハメルンの笛吹おぱさんに従った一団が、改札を通っていったのだった。
  まあ、しばらくすると復旧のアナウンスがあったからいいけど、ね。