モモンジ探して幾百里。

ということで、ジュンク堂は諦めて、来たときはスルーしていたリブロを捜索。というのも、私はジュンク堂へは、いつも西武百貨店の地下食品売り場の横を走る通路を使い、リブロ経由で行くのだった。すんません。
 しかし、リブロの広々とした雑誌コーナーに影も形もなし。
 ええっ、こうなったら意地だとばかり、東口の西武側から西口の東武デパートに入っている旭屋書店に向かおうではないか。
 そうして地下通路を進むと不思議な気分。そう池袋は通い慣れているのだけれど、通路のある一点から西にはここ数年いったことがないのだ。つまり見慣れた空間から、突然見知らぬ空間へと入ってしまった感覚といったらいいのだろうか。
 この西側、なんというか、空気が違う。しかしその空気にろくに触れないままに、エスカレーターでどんどん上り、総合雑誌の棚に……、あっ、あった。「ミステリーズ! 57」。これには異形の天才(といっても作者が異形というわけではない)、酉島伝法さんの渾身の二百枚、現代SFの到達点たる「百々似隊商」が掲載されているのだ。
 ふう、遅ればせながら、やっと手に入れた。うっ、インクの消費量が尋常ではない、って最初の感想がそれかよ。
 これでクマザワ書店、駅前の書店、ジュンク堂、リブロ、そして旭屋書店と、モモンジを探し求めた私の旅は終わった。そうか、モモンジは啼かないのか、では昨年のSFセミナーでの帰り道、鞄の中からキューと聴こえたのは、私の空耳であったのだな。
 まだ数ページしか読んでないけど、これは大傑作です。