壇上の夜13

 そんなこんなで、会場を徘徊すると、井手さんが若い女性と歓談しているのを発見したので、ちょっかいを出しに割り込む。
 ご紹介いただいたその女性は、pippoさん。
「あ、あの着物でいろんな古本屋さんを巡っていらっしゃる……」と早合点すると、それは双子の妹さんだったのだ。
「同じ顔しているので、しょうがないですけどね」とのこと。いやはや失礼しました。pippoさんは近代詩の朗読会なで活躍中で、また文芸フットサルにも参加されているとか。このあたりが高山さん・とんかつさんご夫婦の、あの羊一匹丸ごと食べようの夜と重なる。なるほど、なるほど。
 そう、妹さんは古本ざしきわらしという個性的な名前。ご自身のサイトでさまざまな古書店を訪問されていて、また本の雑誌社の「古本の雑誌」にも登場している。
 とかなんとかやっているうちに、宴は終わり、私はズーズーしくも、酔いにまかせて二次会に参加させていただいた。内々の会なのかもしれないのに、ごめんなさい。しかも着席したのは、理事長の前、いろいろとお話させていただいたのに、どんどんと注がれていく紹興酒に、その内容は溶けていったのでありました。
 途中、pippoさんから場所の問い合わせの電話があったのだけど、すでにまた私はドコ、ここはダレ的な状態に陥っていたので、店の人にケータイを渡して、教えてもらう。このように神楽坂の夜はふやけて、いやふけていく。