爆心地へのいざない
今年広島で開催れるSF大会のサイト「こいこんblog」のSF大全に、小田実の小説『HIROSHIMA』の紹介文を掲載させていただきました。
かなり個性的な小説なので、私の筆力ではその魅力をちゃんと伝えることができたのかはなはだ不安ではあります。
今回、三十年ぶりに読んでみて、さらにネットの力も借りつつ調べてみると、多くの点が具体的な出来事をもとに書かれていたことがわかりました。
300ページほどの小説で、原爆投下の凄惨さを描いているのは8ページに過ぎません。ほとんどのページには、そこに行きつくまでの普通の人々の時間の流れが淡々と書かれていて、現代史の裏面の実際を、皮膚感覚的にとらえることができるでしょう。