エアロックは閉じられた。

 そして選考会は続く。
 まるで成績の悪い順に、名前を呼ばれて答案用紙を返される教室のようだ。でもそれぞれの作品に対する論評は、とても参考になる。これで、その作品がどこがどうかのか確認できればいいのだけれど。まあ、しょうがない。
 CばかりだったのにBが混じって始めて、そしてAがちょこっと入ったあたりで前半戦の終了。返された答案用紙は8枚で、生徒諸君のちょうど半分。残りの生徒たちは、ほっと息をつく。
 しかし選考委員の方々は、どこがどうで、何が良くて、何が悪いかを自信を持って話す。このあたりはやはりすごい、昨年のSFセミナーで「短編賞の感想会」みたいなのに参加させていただいたけど、もう一度読み直してきたのにも関わらず、もう、なんにもいえねぇ、状態だった自分がいたもんね。
 ということで、後半戦の始まり。
 A、B、B−、Cといった感じの評価と作品名と作者の名前を、小浜さんが読み上げ、石亀さんがホワイトボードに書いていく。
 その後半戦も半分を過ぎたあたりで、我らが倉田さんの名前が読み上げられてしまった。作品名は「わたしたちのこれからと、エアロック」。
 目の前に座っていた倉田さんが、少し呼吸困難になったように思えたのは、きっと気のせいなのだろう。