なかなか近代美術館に入れない。

 さて、その1975年の英国肖像画展なのだが、前に書いたように私はサージェントの絵を観たくて出掛けたようだ。そう思うのは、ひさしぶりに広げた図録に、彼の絵があったからだ。しかし実はそこに載っていることも失念していたのだ。
 しかしベーコンの絵のことは、頭蓋骨と脳みその間にこびりついていたが如く忘れていない。
 そんな忘れ去られていたサージェントだが、書棚には1989年に伊勢丹美術館で開催されたサージェント展の図録があるので、観に行ったことになる。しかしデパートでの展示か……。少し悲しい、かも。
 ところで最初に彼の絵を観たのは、十代の中頃だろうか。とある冊子の表紙に使われていたのだ。その画家の名前を憶えて、書店で探してみるものの、見つけることはできないまま、時間は過ぎていった。そんな時に、たぶん新聞の広告か記事かで、その展覧会にサージェントの絵が展示されることを知ったのだろう。と、話はまた脇道を突き進む。いつになったら、今年のベーコン展に着くやら。(続く)