シンクロニシティの夜

 とある原稿の校正紙をPDFで送ってもらった。それをプリントアウトして赤入れをしているのだが、さてどうやって送ろうか。ジジイはPDFの扱いがよくわからない。
 で、校正の資料をひざの上に開きつつ、コピー機で赤入れをスキャンしたらどげんか、とコピーのスイッチの小窓にスキャンを表示させた。
 そして、ふと広げていた資料を見ると、そこにもスキャンの文字が、あれ、なんとも偶然だ、と思いつつ、その項目を読むと、「二度スキャンの診療にかかった。骨を診るのに、あともう一度かかる。……」とあった。もちろんタルコフスキー日記、彼の死のふた月弱ほど前の記述である。
ちなこに私の本溜まりの一角にある机の三分の一は、ほとんど使わないコピー機に占領されている。