五反田今昔ストーリー その三十

 話は五反田からまったく別の場所に飛んでいってしまったので、河岸を替えよう。ということで、まあ同好会では、その環境はどこぞのホテルのホールだったり、どこぞの中華屋さんだったりするから、その自分たちの時代の背景とまったく違うことになるわけだが、だいぶ前に書いたあの「酒は天下の太平山」居酒屋に、数年ぶりか、はたまた十数年ぶりにかつてのメンツともども入ってみると、またもやまったく変わっていない店構えに、まったく記憶になかった記憶がむくむくと甦ってくるのである。
 そしてその記憶やら店の雰囲気やら、メンツの声やらが相乗効果的に醸し出す雰囲気のままに、それぞれの御仁の顔に明確、かつ容赦なく刻まれている時の流れの残酷さが見えなくなっていくのである。
 これをここでは天下のファンデーション、もしくは太平山タイムマシンと勝手に命名しておく。