不必要の必要 その五

 そんな悲しき音楽再生状況に加えて、前から少し様子がおかしかったDVD再生録画機器も、完全にイってしまったのである。
 これで我が家ではテレビ放送の録画ができなくなったのだ。これはヤバいと、今までの私ならばすぐにでも新しい機器を買いに走ったところなのだが、どうやらその生命体的活力が極度に衰弱しているようで、そんな行動は未だに起きていないのである。
 考えてみれば、すでにテレビからDVDに録画した映画の本数はかなりのもので、これを観るだけでも、残りの人生のそれなりの部分を費やさなくてはならない。よってこれ以上の在庫を増やす必要もないのではと、心の奥が判断したのかもしれない。
 ということで、我が家のDVD再生録画装置は壊れたままで鎮座している。これをどけるとなると、その裏の配線やらを引っ張り出さなくてはならないからね。
 ではすでに録画した映画とか、買ってきたDVDをまったく観ないかというとそうではない。昔々、購入していた超廉価版のDVD再生機能のみの機器を、どうにかテレビに繋げて、それで観ているというわけ。
 そしてまたそれはCDの再生も可能なので、音楽CDもなんとテレビのスピーカーから聴くという事態となっているのだった。つまり昨日書いたように、ウチではMDとレコードはちゃんとしたオーディオ装置から再生されるのに対して、CDだけは青い画面のテレビの両脇のスピーカーから出でるということになっている。
 よってここ三年近く、我が家ではテレビ番組を録画する機器が必要なかったことになる。