古い映画をもう一本

 小学生の頃にテレビで観た映画をつらつら思い出してみて、さらにもう一本だけ印象に残っている映画があった。
 犯罪か何かを起こして逃げている男が港町に着く。彼はそこである絵描きに、「君はもうすぐ死ぬ。そんな男を私は描いてみたい」といわれる。その台詞がガキンチョの私には衝撃的だったのだろう。
 数年前にこの映画をまたしても途中からテレビで観て、しっかりタイトルを覚えていたはずだが、寄る年波にはサレンダーで、またもや忘却の彼方となってしまった。
 しかし昨今はネット検索という文明の利器があるので、それでサクサクと検索してみると、どうやら「霧の波止場」という映画らしい。しかもずいぶんと安く売っているではないか。ちなみにこれは洋画で、裕次郎とかの邦画ではありませぬ。
 ここで書いてきた映画のDVDで、「橋」はかなり前に入手している。「青い麦」も最近手に入れた。しかし「肉体の冠」と「牝牛と兵隊」のDVDはないか、あったとしてもかなり高価。
 さて、では安価なこの「霧の波止場」を買ってしまおうか、ということで、はたと悩む。
 得てして古くてあいまいな記憶は、そのままのカタチで自分の中に残しておいたほうがいい気もするのだ。もちろんそれは映画だけに限らない。
カワセミの写真ばかりですみません。