今ここにある、グラビティ。

 そしてまた「ゼログラビティ」。
 映画を観終わると、またトイレに行きたくなった。
 あれれ、これも無重力鑑賞のなせる技なのか、と所定の位置に立つと、隣に鑑賞してきたばかりらしい若者が二人立つ。
 「やっぱ、原題のグラビティの方がいいいよな」
 「そうそう、あの最後の立ち上がった瞬間を表したたかったんだろ」
 「ゼロと頭につけるなんて、ダメなタイトルだよな」
 「まったくそのとおり」
 などといって、若者はその行為を私よりも早く終えた。
 私はまた前を見て、グラビティの実際を確認する。