万博との44年ぶりの再会 その九

(続き)
 一昨日に建物そのものを展示物にしてしまったスイス館やブリティシュ・コロンビア州館のことを書いたけれど、大切なことを忘れていた。その最たる例なのが、ご存知、太陽の塔を含むテーマ館なのである。もちろんその中には進化を表した生命の樹、地下には原初的な人類の遺物、そして大屋根にも摩訶不思議な未来的展示物があったが、テーマ館はその名前よりも太陽の塔として認識されている。
 もちろん、ほかのパビリオンも子どものおもちゃ箱をひっくり返したがごとくに、そのまさに奇異さを競っていた。ただその多くはその過剰な奇異さだけに終わり、内部の表現との整合性、あるいは何らかのアピールを感じさせるものは少なかったのではないか。あるとすれば、新たな建築手法の大胆な導入なのだが、ここは建築方法見本市ではないのである。
 ということで、イベント「万博とアヴァンギャルド」の報告のはずが、いつものように脇道にそれてしまったが、諸事情によりまた少し間をおいて続きます。