沖縄叙景 その四

 前日はあまりに遠くまで足を延ばし、しかも同じ道は通りたくないと、よせばいいのに本島の東側を回って帰ったので、ただただクルマに乗っている時間が長すぎた。その猿にもできる反省に立ち、三日目は近くに出掛けることに。
 その一つが勝連城跡。沖縄本島には世界遺産に指定された城(ぐすく)が五つあって、この城もその一つ。首里城今帰仁城跡、そして座間味城跡には以前来たときに行ったので、今回の沖縄行きで残りの二つも制覇しようというのが、私の密かな魂胆ではあった。
 ナビに場所をセットして、その指示に従って進むと、やがて進行方向の上に、「未知との遭遇」に出てきたデビルス・タワーとかいう山みたいなのが。あれだろうか、何やら新しそうにも見えるのだが、と目を凝らすと、てっぺんに人影……。
 この勝連城跡は、まるで塔のようでもあり、他の城に比べると高低差が際立っている。
 城内(?)の低く広い場所では近々にコンサートが開かれるらしく、その会場の設定作業が進んでいる、といっても見学に支障はなし。
 城の最上部まで登ると、東側のすぐ下に茶色の屋根で統一された魅力的な住宅地が見える。しかし西側からはコンクリートの配給場の音がガラガラ、ザーと聴こえてくる。そしてそんなことはどうでもいいといっているような感じの海は、その両側の先に広がっている。
 風がとても強い。女の子二人組が浚渫船を見て、「どんな魚を取っているんだろうね」と話してした。