断水の夜のたぶん初体験

 突然の深夜の断水である。
 気がついたのは午後11時頃だけど、実際にそうなったのはもっと早いのかもしれない。かってに想像すると、マンションの屋上に水を運ぶモーターか何かが壊れたのだろう。ツレは顔を洗えないとブツブツいっているが、まあ馬耳東風。
 しかし半世紀以上生きてきて。事前に通告される工事の断水以外、こんなことはほとんど経験がない。断水というのも地震や台風の災害時以外の日常生活の範囲だとほぼ死語に近いような気がする。
 ただ小学校低学年の時に社宅の四階に住んでいて、そんなことがあった記憶があるが、それも桶やヤカンとか湯船などに水を溜めていた気がするので、今回の場合とは違う。
 しかし蛇口を捻れば水が出てくるというこの常識が、突然停止してしまうなんて、現代社会はなんとも儚いものなのか。幸い、ここの住人は二人とも出すものはほぼ出していたので、トイレで困ることもなかった。で、そのトイレの収納庫に、もしやの災害のためトイレ用の水にと、二リットルのペットボトルを何本か入れていた。
 で水のなくなったトイレの貯水タンクに一本分だけ入れて、流してみたのだが、とてもとてもいつもの使用時の濁流とはならない。
 というわけで、浪費に近い消費している日常を再確認した断水の夜ではあった。
トイレのことを書いたからって、水仙ではありません。たぶん睡蓮です。