皆既月蝕拾遺 その十

映画、そして小説などにも、よく月が登場する。で、しっかり覚えているわけではないけれど、それはないよね、という表現にときどき出会うことがある。
 例えば、深夜に上弦の月が天頂付近にあったり、やはり丑三つ時に三日月が浮かんでいる、っていう具合。
 ご存じのように月の満ち欠けは、月と太陽と地球の位置関係で決まってくる。簡単にいうと、太陽と地球の間に月があれば、朔と呼ばれる新月、ほぼ太陽の方向にあるので見えない月の状態にあり、それが徐々に見かけ上太陽から離れるに従って、見た目左側の影を残しつつ、三日月、上弦の月、そして満月と呼ばれる掛け方になる。
 上弦、つまり半月だと地球と太陽を結ぶ線から直角の位置にあり、満月だと地球と太陽の延長線上の位置となる。光源は太陽だから少しだけ想像力を働かせれば、月の欠け方はおのずとわかってくる。
  ねっ、だから深夜の天頂にあるのは満月以降の月で、これから右の部分が欠けていく。その満月も太陽が昇るのといっしょに沈み、朝まで残るのは下弦以降の月ということになる。
 ちなみに一昨日の質問の答えは「明け方」。西の空にある満月がやがて沈もうとしている時刻でした。